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財産評定とは?民事再生・会社更生における評価の基準と実務

公開 2026年8月22日更新 2026年10月6日

財産評定とは

財産評定とは、倒産手続の開始時における債務者の財産の価額を評定する手続をいいます。再生計画又は更生計画の基礎となる資料であり、また清算価値保障原則の充足を判断する前提となるものです。

民事再生手続におきましては、再生債務者等は、再生手続開始後遅滞なく、再生債務者に属する一切の財産につき再生手続開始の時における価額を評定しなければなりません(民事再生法第124条第1項)。評定を完了したときは、財産目録及び貸借対照表を作成して裁判所に提出いたします(同条第2項)。

評定の基準

処分価額が原則

民事再生規則第56条第1項は、財産の評定は財産を処分するものとしてしなければならないと定めております。すなわち、清算を前提とした処分価額が原則です。

継続価額による例外

ただし、再生債務者の事業を継続する場合において必要があるときは、財産の全部又は一部について、その事業を継続するものとして評定することができるものとされております(民事再生規則第56条第1項ただし書)。

事業の継続を前提とする場合、機械設備、営業権及び在庫は、単体で処分するよりも高い価額となることが通例です。もっとも、清算価値保障原則の判定におきましては処分価額による評定が基礎となりますので、両者を併記することが実務上の取扱いです。

会社更生手続における評定

会社更生手続におきましては、管財人は、更生会社に属する一切の財産につき更生手続開始の時における価額を評定しなければなりません(会社更生法第83条第1項)。評定は時価によるものとされております(同条第2項)。

破産手続における評定

破産管財人は、破産手続開始後遅滞なく、破産財団に属する一切の財産につき破産手続開始の時における価額を評定しなければなりません(破産法第153条第1項)。

評定の対象となる主要な資産と評価の実際

不動産

不動産鑑定士による鑑定評価が最も信頼性が高くありますが、費用及び期間を要しますので、実務上は不動産業者による査定書、固定資産税評価額又は路線価を基礎とすることも多くあります。担保権が設定されている場合には、担保権者との交渉の基礎資料ともなりますので、根拠の明確な評価が求められます。

売掛金その他の債権

回収可能性に応じて評価いたします。滞留期間、相手方の信用状態及び相殺の可能性を検討し、回収見込額を算定いたします。

在庫

処分価額による場合、通常は帳簿価額を大きく下回ります。業種によっては、換価費用を控除すると評価額が零又は負となることもあります。

機械設備及び車両

中古市場の相場を基礎といたします。専用機械につきましては、スクラップ価額にとどまることがあります。

営業権

事業を継続するものとして評定する場合に限り計上されます。将来の収益予測に基づく評価となりますので、その前提の合理性が問われます。

保険積立金及び有価証券

解約返戻金額又は市場価額によります。

お手元の資料と経緯をお聞きし、進め方の順序をお示しします。

財産評定が持つ実務上の意義

第一に、清算価値の算定です。財産評定により算出された処分価額の合計から、財団債権及び優先債権を控除した額が、破産手続における一般債権者への配当原資となります。これが再生計画における弁済額の下限を画します。

第二に、担保権の目的財産の価値の把握です。別除権協定の交渉又は担保権消滅請求における価額の提示の基礎となります。

第三に、再生計画の実行可能性の検証です。

第四に、債権者に対する説明資料です。債権者集会において弁済率の根拠として示されます。

よくあるご質問

質問1 財産評定は誰が行うのですか。
民事再生手続におきましては再生債務者等が、会社更生手続におきましては管財人が、破産手続におきましては破産管財人が行います。実務上は公認会計士又は税理士の関与を得て行うことが多くあります。

質問2 評価額に不服がある場合はどうなりますか。
債権者は、債権者集会における意見陳述又は再生計画案に対する反対により争うことになります。担保権の目的財産につきましては、価額決定の請求(民事再生法第149条第1項)という個別の手続があります。

質問3 簿外債務も評定の対象となりますか。
財産評定は資産の評定ですが、貸借対照表の作成に当たっては未払残業代、退職給付債務及び保証債務等の簿外債務も計上する必要があります。

まとめ

財産評定は、再生計画の弁済率の下限を画する清算価値の算定の基礎です。評定の巧拙が、債権者との交渉及び計画の認可の可否を左右いたしますので、根拠資料を整えたうえで慎重に行う必要があります。

清算価値保障原則との関係につきましては、清算価値保障原則の解説を併せてご覧ください。

本記事の根拠条文

民事再生法第124条、第149条第1項。民事再生規則第56条。会社更生法第83条。破産法第153条第1項。

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執筆者

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会所属 登録番号26775)

長島・大野・常松法律事務所に在籍した後、慶應義塾大学ビジネス・スクール及びペンシルベニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論並びにM&A及び不動産を専攻しました。不動産投資信託(J-REIT)の上場案件に関与し、2024年(令和6年)10月には最高裁判所において株式買取請求権に関する逆転判決を得ました。現在は弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士を務めています。

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