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債務超過とは?支払不能との違いと解消方法

公開 2026年8月22日更新 2026年10月6日

債務超過とは

債務超過とは、債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいいます(破産法第16条第1項)。貸借対照表において、負債の総額が資産の総額を上回っている状態です。

法人につきましては、支払不能のほか債務超過も破産手続開始の原因となります(破産法第16条第1項)。ただし、存立中の合名会社及び合資会社につきましては、無限責任社員が存在いたしますため、債務超過は破産手続開始の原因となりません(同条第2項)。

支払不能との相違

債務超過は財産の状態に着目する概念であり、支払不能は資金繰りに着目する概念です。

債務超過であっても、金融機関からの継続的な融資又は親会社からの支援により資金繰りが回っている限り、支払不能ではありません。逆に、資産超過であっても、資産が直ちに換価できない不動産又は売掛金ばかりであり、手元資金が枯渇すれば支払不能となります。

実務上、中小企業におきましては債務超過の状態が長期間継続していることが珍しくありません。債務超過であること自体が直ちに倒産を意味するものではありません。

債務超過の判定における資産の評価

帳簿価額と時価

債務超過の判定は、帳簿価額ではなく時価によって行うのが原則です。したがいまして、次の調整が必要となります。

第一に、含み損の反映です。取得時より価格が下落した不動産、有価証券及び在庫は、時価まで減額いたします。

第二に、回収不能債権の控除です。長期間滞留している売掛金、貸付金及び未収入金は、回収可能性を検討して評価いたします。

第三に、含み益の反映です。取得時より価格が上昇した不動産等につきましては、逆に増額の調整をいたします。

第四に、簿外債務の計上です。未払残業代、退職給付債務、係争中の損害賠償債務及び保証債務は、帳簿に計上されていないことが多くありますが、債務超過の判定においては考慮を要します。

実質債務超過

これらの調整を経た後の状態を実質債務超過と申します。金融機関の債務者区分におきましても、実質債務超過の有無及びその解消年数が重要な指標とされております。

債務超過が生じさせる法律上の効果

破産手続開始の原因

法人につきましては、債務超過は独立の破産手続開始の原因です(破産法第16条第1項)。

取締役の責任

債務超過の状態にありながら漫然と事業を継続し、損害を拡大させた場合には、取締役が善管注意義務違反として任務懈怠責任を問われる可能性があります(会社法第423条第1項)。また、第三者に対する責任(同法第429条第1項)も問題となり得ます。

特別清算開始の原因

清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、特別清算開始の原因となります(会社法第510条第2号)。

剰余金の配当の制限

債務超過の会社は、分配可能額が存在いたしませんので、剰余金の配当をすることができません(会社法第461条第1項)。

お手元の資料と経緯をお聞きし、進め方の順序をお示しします。

債務超過の解消の方法

第一に、増資です。株主又は第三者からの出資により資本を増強いたします。

第二に、債務免除です。債権者から債務の免除を受けることにより負債を減少させます。ただし債務免除益に対する課税の問題が生じますので、債務免除益課税の解説を併せてご覧ください。

第三に、デット・エクイティ・スワップです。債権を現物出資して株式に転換する手法です。

第四に、資産の売却による含み益の実現です。

第五に、収益力の改善による利益の蓄積です。最も本質的な解消方法です。

よくあるご質問

質問1 債務超過になったら必ず破産しなければなりませんか。
そのようなことはありません。債務超過は破産手続開始の原因ではありますが、申立てをするか否かは債務者又は債権者の判断です。資金繰りが維持されている限り事業の継続は可能です。

質問2 代表者の個人保証がある場合はどうなりますか。
会社の債務超過が解消されない場合、保証債務の履行を求められる可能性があります。経営者保証に関するガイドライン及び中小企業の事業再生等に関するガイドラインによる整理を検討いたします。

質問3 債務超過の会社を売却することはできますか。
可能です。事業に収益力がある場合には、株式譲渡又は事業譲渡による承継が成立する例があります。

まとめ

債務超過は財産の状態を示す概念であり、直ちに事業の終了を意味するものではありません。もっとも、破産手続開始の原因であり、取締役の責任の問題を生じさせますので、解消に向けた具体的な計画を有していることが重要です。

本記事の根拠条文

破産法第16条。会社法第423条第1項、第429条第1項、第461条第1項、第510条第2号。

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執筆者

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会所属 登録番号26775)

長島・大野・常松法律事務所に在籍した後、慶應義塾大学ビジネス・スクール及びペンシルベニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論並びにM&A及び不動産を専攻しました。不動産投資信託(J-REIT)の上場案件に関与し、2024年(令和6年)10月には最高裁判所において株式買取請求権に関する逆転判決を得ました。現在は弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士を務めています。

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本記事の記載は一般的な法律情報であり、個別の事案に関する法律上の助言ではありません。記載した経歴は事実の記述であり、個別の事件の結果を保証するものではありません。

著書

非上場会社における少数株主対策の手法と実務
『非上場会社における少数株主対策の手法と実務』(日本法令)
中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策
『中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策』(清文社)
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