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会社更生とは?民事再生との違いと担保権の取扱い

公開 2026年8月22日更新 2026年10月6日

会社更生とは

会社更生とは、窮境にある株式会社につき、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めることにより、事業の維持更生を図ることを目的とする法的整理の手続をいいます。会社更生法を根拠といたします(会社更生法第1条)。

利用できるのは株式会社に限られます。持分会社、医療法人、学校法人及び個人は利用できません。

民事再生との根本的な相違

項目 会社更生 民事再生
利用できる者 株式会社のみ 法人及び個人
経営権 原則として管財人に移行 原則として経営者が継続
担保権 更生担保権として手続に取込み 別除権として手続外で行使可能
株主の権利 更生計画により変更可能 原則として変更されない
租税債権 手続に取り込まれる 一般優先債権として随時弁済
手続期間 1年程度以上 5か月から6か月程度

最大の相違は担保権の取扱いです。会社更生手続におきましては担保権も更生担保権として手続に取り込まれ、更生計画による権利変更の対象となります(会社更生法第2条第10項)。更生手続開始の決定があったときは、担保権の実行手続をすることができません(同法第50条第1項)。

担保権者の意向にかかわらず担保権を制約できますので、抜本的な再建が可能です。他方、担保権者の負担が大きいため、手続の要件及び運用は厳格です。

手続の流れ

第一 申立て

破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがある場合、又は弁済期にある債務を弁済することとすれば事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合に申し立てることができます(会社更生法第17条第1項)。

第二 保全処分及び保全管理命令

第三 更生手続開始の決定及び管財人の選任

開始決定と同時に管財人が選任され、事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利は管財人に専属いたします(会社更生法第72条第1項)。

もっとも、平成21年以降、東京地方裁判所を中心にディー・アイ・ピー型会社更生の運用が定着しております。従前の経営陣に不正がなく、主要債権者が反対せず、スポンサーが予定される場合等の要件を満たすときは、現経営者が管財人に選任されることがあります。

第四 財産評定

管財人は、更生手続開始の時における価額を時価により評定いたします(会社更生法第83条)。

第五 更生計画案の提出及び可決

更生計画案は、組分けされた各組ごとに決議されます。可決の要件は組により異なり、更生債権者の組では議決権の総額の2分の1を超える同意、更生担保権者の組では期限の猶予にとどまる場合に3分の2以上、減免を伴う場合に4分の3以上、清算型の場合に10分の9以上の同意を要します(会社更生法第196条第5項)。

第六 認可及び遂行

更生計画による権利変更

更生計画では、更生債権及び更生担保権の減免及び期限の猶予のほか、資本の減少、新株の発行、合併、会社分割及び事業譲渡等の組織再編を定めることができます。株主の権利も変更の対象となり、債務超過の場合には株主は権利を失うのが通例です(会社更生法第166条第2項)。

お手元の資料と経緯をお聞きし、進め方の順序をお示しします。

会社更生が選択される場面

第一に、担保権の実行を止める必要がある場合です。工場、店舗等の中核資産に担保が設定され、民事再生では実行を阻止できない場合に有効です。

第二に、担保権者が多数であり調整が困難な場合です。

第三に、株主構成の抜本的な変更を要する場合です。

第四に、租税債権が多額である場合です。

よくあるご質問

質問1 中小企業でも会社更生を利用できますか。
制度上は株式会社であれば可能ですが、手続費用及び期間の負担が大きいため、実務上は一定規模以上の企業が中心です。

質問2 経営者は必ず退任しますか。
原則として管財人に経営権が移行いたしますが、ディー・アイ・ピー型の運用により現経営者が管財人に選任される例があります。

質問3 会社更生法と会社更生は違うものですか。
会社更生法は法律の名称、会社更生はその法律が定める手続の名称です。

まとめ

会社更生は、担保権及び株主の権利を含めて抜本的に権利関係を再構築できる手続です。負担も大きい手続ですので、民事再生では再建が困難な事案において選択されます。

本記事の根拠条文

会社更生法第1条、第2条第10項、第17条第1項、第50条第1項、第72条第1項、第83条、第166条第2項、第196条第5項。

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執筆者

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会所属 登録番号26775)

長島・大野・常松法律事務所に在籍した後、慶應義塾大学ビジネス・スクール及びペンシルベニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論並びにM&A及び不動産を専攻しました。不動産投資信託(J-REIT)の上場案件に関与し、2024年(令和6年)10月には最高裁判所において株式買取請求権に関する逆転判決を得ました。現在は弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士を務めています。

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本記事の記載は一般的な法律情報であり、個別の事案に関する法律上の助言ではありません。記載した経歴は事実の記述であり、個別の事件の結果を保証するものではありません。

著書

非上場会社における少数株主対策の手法と実務
『非上場会社における少数株主対策の手法と実務』(日本法令)
中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策
『中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策』(清文社)
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