この記事の位置付け
本ページは、民事再生及び会社更生による再建に関する解説の中核となるページです。個別の論点は、次の関連するページで詳しく述べています。
- 倒産手続における債権の取扱いの比較|破産・民事再生・会社更生の相違を解説
- 会社更生 民事再生との違いと担保権の取扱い
- 財産評定 民事再生・会社更生における評価の基準と実務
- 濫用的会社分割 正当な第二会社方式との違いと債権者の対抗手段
- 詐害的会社分割 残存債権者が採り得る5つの法的手段
- 別除権 破産・民事再生における担保権の行使方法と不足額責任主義
- 法的整理による事業の再生|民事再生・会社更生・第二会社方式の選び方
- M&A事業譲渡により社会保険料の二次納付義務・連帯納付義務を負うのか?!
- 法人・事業の破産手続き・資金繰り支援・会社再建の解説動画【動画】
- 民事再生と会社更生の違い、メリット及びデメリット並びに手続きの流れ
民事再生とは
民事再生とは、経済的に窮境にある債務者につき、その事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする法的整理の手続をいいます。民事再生法を根拠といたします(民事再生法第1条)。
債務者が事業を継続しながら、再生計画により債務を圧縮し、圧縮後の債務を分割して弁済することにより再建を図る制度です。株式会社に限らず、あらゆる法人及び個人が利用することができます。
民事再生の最大の特徴
民事再生の最大の特徴は、原則として現在の経営者がそのまま経営を継続することです。これをディー・アイ・ピー型(占有を継続する債務者による再建)と申します。
会社更生手続におきましては原則として管財人が選任され経営権を失いますが、民事再生手続におきましては再生債務者が業務遂行権及び財産管理処分権を維持いたします(民事再生法第38条第1項)。ただし裁判所は監督委員を選任し、一定の行為について同意を要するものといたします(同法第54条、第41条)。
手続の流れ
第一 申立て
債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき、又は事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときに申し立てることができます(民事再生法第21条第1項)。支払不能に至る前の段階で申立てが可能である点が重要です。
第二 保全処分及び監督委員の選任
申立て後直ちに、弁済禁止の保全処分が発令されるのが通例です。あわせて監督委員が選任されます。
第三 再生手続開始の決定
申立てから概ね2週間程度で開始決定がされます。
第四 債権届出及び認否
再生債権者が債権を届け出、再生債務者等が認否書を作成いたします。
第五 財産評定及び報告書の提出
財産評定を行い、財産目録及び貸借対照表を提出いたします(民事再生法第124条)。
第六 再生計画案の提出
債権届出期間の満了後、裁判所の定める期間内に再生計画案を提出いたします(民事再生法第163条第1項)。
第七 決議及び認可
債権者集会又は書面投票により決議されます。可決の要件は、議決権者の頭数の過半数の同意、かつ議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意です(民事再生法第172条の3第1項)。可決された再生計画は、不認可事由がない限り認可されます。
第八 遂行及び終結
認可決定の確定から3年を経過したときは、再生手続は終結いたします(民事再生法第188条第2項)。
申立てから認可まで、標準的には5か月から6か月程度です。
再生計画による権利変更
再生計画では、再生債権の一部を免除し、残額を分割して弁済することを定めるのが通例です。弁済期間は、認可の決定の確定から10年を超えることができません(民事再生法第155条第3項)。
弁済率は事案により大きく異なりますが、清算価値保障原則により、破産した場合の配当率が下限となります。
担保権の取扱い
担保権者は別除権を有し、再生手続によらないで担保権を実行することができます(民事再生法第53条)。事業の継続に不可欠な財産に担保が設定されている場合には、担保権消滅請求(同法第148条)又は別除権協定により対応いたします。
詳細は別除権の解説をご覧ください。
民事再生の利点と難点
利点といたしましては、第一に、経営権を維持できること、第二に、法人格が存続するため許認可及び契約関係が維持されること、第三に、多数決により反対債権者を拘束できること、第四に、手続期間が会社更生に比して短いことが挙げられます。
難点といたしましては、第一に、申立てが公表され信用が毀損されること、第二に、担保権の実行を止められない場合があること、第三に、可決に必要な同意が得られない危険があること、第四に、申立てにあたり相当額の予納金を要することが挙げられます。
よくあるご質問
質問1 申立て後も取引は続けられますか。
再生手続開始後の取引に基づく債権は共益債権となり随時弁済されますので、取引の継続は可能です。もっとも、現実には現金取引を求められることが多くあります。
質問2 従業員の給与は支払えますか。
労働債権は一般優先債権として随時弁済されます(民事再生法第122条)。
質問3 再生計画が否決されたらどうなりますか。
再生手続は廃止され、多くの場合は破産手続へ移行いたします。
まとめ
民事再生は、経営権を維持しながら事業の再建を図ることのできる手続です。もっとも、申立ての公表による信用の毀損は避けられませんので、私的整理による解決の可否を十分に検討したうえで選択すべき手続です。
本記事の根拠条文
民事再生法第1条、第21条第1項、第38条第1項、第41条、第53条、第54条、第122条、第124条、第148条、第155条第3項、第163条第1項、第172条の3第1項、第188条第2項。
弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
事業再生は、着手の時期が結果を左右いたします。資金繰りに不安が生じた段階でご相談いただければ、採り得る手段の幅が広がります。電話番号 03-6435-8418 受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜・日曜・祝日を含みます)。ご相談は事前予約制です。なお、課税関係につきましては税理士にお問い合わせください。
具体的なご相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。
















