事業再生・債務削減・破産廃業・サービサー対応なら弁護士法人M&A総合法律事務所
HOME / 投稿 / スポンサー契約とは?事業再生における支援の類型と選定手続

スポンサー契約とは?事業再生における支援の類型と選定手続

公開 2026年8月22日更新 2026年10月6日

スポンサー契約とは

スポンサー契約とは、事業再生の局面におきまして、再生を図る債務者(対象会社)に対して資金の拠出、信用の供与又は事業上の支援を行う第三者(スポンサー)との間で締結される契約をいいます。

法律上の定義がある契約類型ではありません。実務上、事業譲渡契約、株式引受契約、新株予約権付社債引受契約その他の形式をとりますが、事業再生の支援を目的とする点に共通の特徴があります。

スポンサーが必要とされる理由

過剰債務を負った企業が自力のみで再生を図る場合、弁済原資は将来の営業利益に限られます。これに対しスポンサーによる資金の拠出があれば、一括弁済による早期の再生が可能となります。

また、金融機関に対する信用の回復、仕入先との取引の再開、及び人材の確保という点におきましても、スポンサーの存在は決定的です。取引先は、スポンサーが付いた企業とは取引を継続いたしますが、単独で再生手続に入った企業からは離れる傾向があります。

スポンサー支援の類型

第一 事業譲渡型

対象会社の事業をスポンサーへ譲渡し、譲渡代金を弁済原資といたします。対象会社は事業譲渡後に清算又は破産により終了いたします。簿外債務を遮断できる点がスポンサーにとって有利です。

第二 会社分割型

会社分割により事業を新会社へ承継させ、新会社の株式をスポンサーへ譲渡いたします。許認可の承継が可能な場合に用いられます。

第三 増資引受型

対象会社が第三者割当増資を行い、スポンサーがこれを引き受けます。法人格を維持できますので、許認可及び契約関係を承継する必要がありません。

第四 株式譲渡型

既存株主からスポンサーへ株式を譲渡いたします。増資引受型と同様、法人格が維持されます。

スポンサーの選定手続

民事再生手続又は会社更生手続におきましては、スポンサーの選定の公正性が求められます。特定のスポンサーと事前に合意している場合(プレパッケージ型)でありましても、裁判所及び債権者に対して選定の合理性を説明する必要があります。

実務上は、入札手続(ビッド)を実施し、複数の候補者から提案を受けたうえで、支援金額のみならず、雇用の維持、取引先との関係の継続及び事業計画の実現可能性を総合的に評価して決定いたします。

支援金額が最高であることのみをもって選定の合理性が担保されるわけではありません。債権者に対する説明においては、選定の基準と各候補者の評価を明示することが求められます。

スポンサー契約の主要な条項

第一に、支援の方法及び金額です。

第二に、前提条件です。再生計画の認可、主要債権者の同意、許認可の承継及び重要な取引先との契約の継続を条件とすることが通例です。

第三に、デュー・ディリジェンスの実施及び表明保証です。事業再生の局面では対象会社の情報が不十分であることが多く、表明保証の範囲が交渉の焦点となります。

第四に、独占交渉権及びブレイクアップ・フィーです。

第五に、役員及び従業員の処遇です。雇用の維持は債権者及び裁判所の関心事でもあります。

第六に、解除事由です。再生計画が認可されない場合、又は対象会社の財務状況が想定を超えて悪化した場合の離脱条項です。

お手元の資料と経緯をお聞きし、進め方の順序をお示しします。

スポンサー契約における留意点

対象会社の側におかれましては、第一に、スポンサー契約の締結が早すぎますと交渉力を失い、遅すぎますと事業価値が毀損いたします。第二に、独占交渉権を安易に付与いたしますと、条件の切下げに対抗できなくなります。第三に、前提条件が多岐にわたる契約は、実質的に拘束力を欠くことがあります。

スポンサーの側におかれましては、第一に、簿外債務及び偶発債務の遮断が最大の関心事です。第二に、否認権の行使により取引が覆される危険を検討する必要があります。第三に、許認可の承継の可否を事前に確認しなければなりません。

よくあるご質問

質問1 法的整理に入る前にスポンサーを決めておくことはできますか。
可能です。プレパッケージ型と呼ばれ、手続の期間を短縮し事業価値の毀損を防ぐ利点があります。ただし選定の公正性の説明が求められます。

質問2 スポンサーが見つからない場合はどうなりますか。
自力再建型の再生計画を検討するか、清算型の手続へ移行することとなります。

質問3 既存の経営者は退任しなければなりませんか。
スポンサーの意向によります。事業の継続に経営者の関与が不可欠である場合には、一定期間の残留を求められることもあります。

まとめ

スポンサー契約は、事業再生の成否を決定づける契約です。支援の類型の選択、選定手続の公正性、及び契約条項の設計のいずれにおきましても、法的整理の枠組みとの整合が求められます。早期に弁護士を関与させることが、条件の維持と手続の円滑な進行につながります。

本記事の根拠条文等

民事再生法、会社更生法、会社法(事業譲渡・会社分割・募集株式の発行等)。中小企業の事業再生等に関するガイドライン。

弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談

事業再生は、着手の時期が結果を左右いたします。資金繰りに不安が生じた段階でご相談いただければ、採り得る手段の幅が広がります。電話番号 03-6435-8418 受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜・日曜・祝日を含みます)。ご相談は事前予約制です。なお、課税関係につきましては税理士にお問い合わせください。

具体的なご相談をお考えの皆様へ

本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。

執筆者

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会所属 登録番号26775)

長島・大野・常松法律事務所に在籍した後、慶應義塾大学ビジネス・スクール及びペンシルベニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論並びにM&A及び不動産を専攻しました。不動産投資信託(J-REIT)の上場案件に関与し、2024年(令和6年)10月には最高裁判所において株式買取請求権に関する逆転判決を得ました。現在は弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士を務めています。

主として取り扱う分野 M&A、株式買取請求権、非上場株式の価格の決定、企業価値評価、事業承継、企業法務及び不動産に関する法律問題

所在地 〒105-6017 東京都港区虎ノ門4丁目3番1号 森トラスト城山トラストタワー17階/電話番号 03-6435-8418/受付時間 8:00-21:00(土日祝含む)

本記事の記載は一般的な法律情報であり、個別の事案に関する法律上の助言ではありません。記載した経歴は事実の記述であり、個別の事件の結果を保証するものではありません。

著書

非上場会社における少数株主対策の手法と実務
『非上場会社における少数株主対策の手法と実務』(日本法令)
中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策
『中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策』(清文社)
03-6435-8418受付 8:00〜21:00(土日祝含む)相談申込LINE