連帯保証人が保証契約を解除できるケースとは?知っておきたい知識を分かりやすく解説

連帯保証人になると、主債務者と連帯して債務を負うことになります。ですが、経済的な理由や事業承継の際などに連帯保証人の保証契約を解除したいと考える人もいらっしゃるでしょう。連帯保証人の保証契約を解除することは簡単なことではありません。しかし、場合によっては連帯保証契約を解除できるケースがあり、無効や取り消しにすることができるケースもあります。そこで本記事では、連帯保証人が保証契約を解除する際に必要となる知識や、解除が可能なケースなどについて分かりやすく解説していきます。

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目次

連帯保証人の保証は解除できるのか?

連帯保証人の保証契約の解除を検討するにあたって、そもそも連帯保証人は法律上どのような責任を負うことになっているのか理解しておきましょう。

連帯保証人とは?

連帯保証人とは、主債務者と同じ立場で返済義務を負う保証人のことを言います。そもそも保証人とは、主債務者が債務を履行しないときに履行する責任を負う人のことです(民法第446条1項)。ここで、保証人が負う債務は元金だけでなく、利息や違約金、損害賠償金など、主たる債務により発生する全ての債務について責任を負います(民法第447条1項)。日常生活の中で連帯保証人が登場するのは、金融機関から融資を受ける際や、賃貸住宅やテナント物件における賃貸契約などの機会が一般的でしょう。なお、令和2年4月から施行された改正民法では、個人が連帯保証人契約を結ぶ際には、極度額の設定が必要とされるようになりました。ですので、改正前ですと連帯保証人は無制限に債務を負うことになっていましたが、改正後に結ばれた契約であれば連帯保証人の債務は極度額の範囲内にとどまることになります。

連帯保証人と保証人の違い

連帯保証人と保証人の具体的な違いはどこにあるのでしょうか。「連帯」という言葉がつかない保証人には、「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」「求償権」という権利が認められています。まずはそれぞれどのような権利なのかを理解したうえで、連帯保証人が有する権利と責任について理解しましょう。

催告の抗弁権(民法第452条)

催告の抗弁権とは、債務の履行を請求する債権者に対して、「まずは主たる債務者に対して請求するべきである」旨を請求できる権利のことをいいます。

検索の抗弁権(民法第453条)

検索の抗弁権とは、債務者が弁済可能な財産などを所有している場合に、保証債務の履行を拒否する事ができる権利のことをいいます。しかし、保証人が検索の抗弁権を行使するためには、債務者が返済可能な資産を所有していること及び、弁済の執行が容易なこと証明する必要があります。

分別の利益(民法第456条)

分別の利益とは、保証人が複数名いる場合、保証人の人数に応じて負担する債務額を減少させることができる権利のことをいいます。

求償権(民法第442条)

一定の法律上の理由で被った財産の減少について、特定の者に対してその返還を求める権利のことをいいます。一般的には、他人の債務を弁済した者が、その他人に対して弁済額の返済を求める権利のことを指します。

連帯保証人には、保証人が有している「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」がありません。ただし、連帯保証人にも「求償権」は認められております。これらのことから、連帯保証人は保証人と比較して、より重い責任を負っているといえます。

連帯保証人を辞められない理由とは?

連帯保証契約は法律上の契約です。契約には法的拘束力があり、連帯保証人の都合だけでは原則として契約を解除することはできません。連帯保証人の意向によって一方的に辞めることができると、担保としての機能がなくなってしまいます。そのため、多くの場合、債権者の同意がない限りは、連帯保証人側から連帯保証人を辞めることはできません。

連帯保証人の保証が解除できるケース

連帯保証人が保証を解除してもらうことは原則として難しいですが、例外的な場合に連帯保証契約の解除が認められる可能性があり、以下で解説しています。

代わりの連帯保証人を見つけた場合

自分以外の人を代わりの連帯保証人として立てることで、連帯保証契約を解除できる可能性があります。ですが、代わりの連帯保証人には十分な返済能力が備わっている必要があり、誰でも連帯保証人としていいわけではありません。

債権者の合意がある場合

債権者からの合意があれば、連帯保証契約を解除することは可能です。主債務者の債務残高が残り僅かで、債権者にとって大きな影響がないと判断されれば解除してもらえる可能性も考えられます。しかし、現実的にかなり難しい選択肢であることは間違いありません。

賃貸借契約の連帯保証人となった場合

賃貸借契約において、貸借人による家賃滞納のリスクを回避するために契約時に連帯保証人が要求されることがあります。このような場合、連帯保証人は貸借人による家賃の滞納があった場合には、賃貸人からの請求に応じて家賃を支払う責任があります。また、原則として連帯保証人からの一方的な連帯保証契約の解除は認められていません。しかし、貸借人が長期間賃料の支払いを怠り、将来においても貸借人に賃料を支払う見込みがない場合においても賃貸借契約が継続すると、連帯保証人の保証範囲も無限に膨らんでいってしまうことになります。そのため、裁判例では賃貸人にも保証契約上、不当に保証人の保証範囲が拡大することがないように配慮する信義則上の義務が認められたケースがあります。

銀行からの借り入れの際に連帯保証人となった場合

銀行からの借り入れの際に連帯保証人が要求されることがあります。連帯保証人は主債務者が返済不能になった場合に、代わりに支払うことになるので、連帯保証契約の解除は認められないのが原則です。銀行からの借り入れの場合、銀行の同意を得られれば連帯保証契約を解除できる可能性があります。銀行としては、借金の担保として連帯保証人を必要としていますので、同等かそれ以上の担保の提供があれば銀行の同意を得て、連帯保証人を辞めることができるかもしれません。担保を提供する方法としては、別の連帯保証人を用意することや、不動産などを担保として提供することなどが方法として挙げられます。

不動産を売却した場合

主債務者の住宅ローン残債が不動産価格よりも下回っている(アンダーローン)の場合、不動産を売却して債務を完済できるため、連帯保証人は保証契約を解除することができます。一方で、不動産を売却しても売却額が住宅ローン残債に満たない(オーバーローン)場合は、任意売却を検討してみるのも一つの手です。オーバーローンの場合、不動産に金融機関の抵当権が設定されているため、別途完済するためのお金を用意しなければ、通常の売却ができません。そこで、オーバーローンの場合は、金融機関と相談して任意売却とするか、強制的に競売という売却となります。任意売却をしても債務が残るケースだと、債務者に支払い能力が無い場合には、残債の一括請求や差押えが連帯保証人にいってしまう可能性もあります。しかし、任意売却をすることで、競売に比べ高い金額で不動産を売却することができ、ローン残債をより減らすことができるなどといったメリットもあるため、主債務者とよく話し合って上で任意売却を検討するようにしましょう。

相続放棄をした場合

その他、連帯保証人が亡くなり、連帯保証人の債務を相続しなければならないという状況になるケースが考えられます。このようなケースでは、相続人は相続放棄をすることで連帯保証人にならずに済みます。相続放棄をする際には、相続の発生を知った日から3カ月以内に、相続放棄をする旨の申述を家庭裁判所にする必要があります。

経営者保証の解除について

経営者保証とは、会社が銀行などの金融機関から融資を受ける際に、個人的に経営者が連帯保証を負うことをいいます。特に、財務面で信用度が低い会社の場合だと、借入の際に経営者保証が求められるケースが多いのが現状です。経営者保証を設定すると、会社が倒産した際に、経営者自身の保有している土地や不動産などの財産を現金化したうえで返済する必要があります。そのため、経営者保証は経営者にとって大きなリスクだといえます。通常、社長交代の際に、問題がなければ経営者保証は先代の社長から後継者に代わります。この経営者保証を設定していることで、中小企業が円滑に事業承継を行えないという事例が多くあるため、経営者保証を解除したいと考える人も多いはずです。以下では、経営者保証を解除する方法について解説していきます。

経営者保証ガイドラインの活用

事業承継の際に、経営者保証を解除したい場合、経営者保証ガイドラインの特則がもっとも参考になります。この特則を参考に対応を進めれば、経営者保証を解除できる可能性は高まるといえます。

経営者保証ガイドラインの特則とは

経営者保証ガイドラインとは、経営者保証による弊害を除去することで、思い切った事業展開、新規起業、早期の清算や事業再生などを支援する目的で作成されたガイドラインのことです。しかし、既存のガイドラインには事業承継に関する規定が十分に盛り込まれていなかったところ、2020年4月から、事業承継に焦点を当てた特則が運用されるようになりました。

「経営者保証ガイドラインの特則」の内容

経営者保証ガイドラインの特則では、債権者である金融機関に以下の対応を求めています。

・原則として前経営者および後継者の双方から二重には保証を求めない(例外的に求める必要がある場合は、十分に説明した上で理解を得る)

・後継者に経営者保証を求める場合、必要性や事業承継に与える影響も十分に考慮した上で慎重に判断する

・前の経営者との保証契約については適切な見直しを検討することが求められる

「経営者保証ガイドラインの特則」に強制力はありませんが、特則の運用により、後継者が経営者保証を引き継ぐことや、前経営者と後継者が二重に保証を設定することは減少すると考えられます。

特則により事業承継の際に経営者保証を解除する条件

特則の適用により、主たる債務者及び保証人が経営者保証を提供することなしに事業承継を希望する場合には、最低で下記3つの条件を満たす必要があります。

1,法人と経営者との関係の明確な区分・分離

2.財務基盤の強化

3.財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保

詳細な条件につきましては「経営者保証に関するガイドライン」の特則をご参照ください。また、上記条件は抽象的であり、どうすればクリアすることができるのか理解しづらいでしょう。そこで、国では経営者保証コーディネーターという専門家による支援制度を用意しています。この制度を活用し、専門家に相談することで、ガイドラインをどの程度満たしているのかアドバイスしてもらうことができます。ガイドラインを使って経営者保証を解除できた事例は、金融庁の公式サイトにて紹介されていますので、ご自身が実際に活用する場面を想定して、実例を参考にしてみてください。

事業承継特別保証制度の活用

事業承継特別保証制度とは、経営者保証が不要であり、経営者保証付きの既存の借入金についても借り換えにより経営者保証を不要とすることが可能な保証制度です。信用保証協会が用意している事業承継特別制度を活用することで、経営者保証を解除することが可能なケースがあります。「経営者保証に関するガイドライン」の特則には強制力がないため、金融機関の意向で経営者保証を解除できない可能性もあります。しかし、その場合でも、2020年4月から始まった「事業承継特別保証制度」を活用し、要件を満たすことで経営者保証を解除することができます。

事業承継特別保証制度を利用するメリット

事業承継特別保証制度を利用するメリットとしては以下の通りです。

・事業承継時に利用することができる

・事業承継時の経営者保証が不要となる

・専門家の確認を受けることができれば、保証料率がかなり軽減される

・経営者保証付きの既存の借入金にも借り換えが可能

事業承継特別保証制度には上記のメリットがあるため、後継者の保証における不安材料が解消され、安心して事業を引き継ぐことが出来ます。

事業承継特別制度の利用条件

事業承継特別制度の利用条件は、下記表の通りです。なお、申し込み資格は既に事業承継をしてしまった企業も対象となる場合があります。具体的には、2020年1月1日から2025年3月31日の間に事業承継を行った会社については、事業承継後3年以内であれば事業承継特別保証制度の対象になります。このとき、信用保証協会が指定した書式による事業承継計画書の提出が必要となります。

・3年以内に事業承継をする予定である
・中小企業である
・事業承継計画を作成している
主な申し込み資格 ・返済緩和中ではない
・債務超過ではない
・会社と経営者が分離できている
・借入金が一定の範囲内に抑えられている
保証できる金額 2億8000万円まで
保証できる期間 10年まで
保証料率 軽減しない場合:0.45%~1.9%
軽減した場合:0.2%~1.15%

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連帯保証契約の無効・取消しで解除できるケース

連帯保証契約を結んだ後でも、契約が無効・取消しとなり、契約を解除できる場合があります。具体的にどのようなケースで無効・取消しとなるのか以下で紹介していきます。

勝手に連帯保証人にされた場合

本人の同意なしに、契約書の連帯保証人の欄に無断で署名・押印などされた場合には、無権代理(本人に代わって契約を結ぶなどの権利のない者が勝手に代理人として振舞うこと)としてその契約は無効となります(民法第113条)。契約が無効とされると、初めから契約が存在していないものとして扱われることになるので、連帯保証人としての責任は持っていなかったことになります。

契約内容に錯誤があった場合

連帯保証契約を結んだ際に、理解していた契約内容に錯誤があった場合、契約が無効となり取り消すことができます(民法第95条1項)。しかし、錯誤したことに過失が認められると、契約の解除は認められませんので注意しておきましょう。

詐欺や脅迫により契約を結んだ場合

詐欺や脅迫により契約書の連帯保証人の欄に署名・押印した場合は、契約が無効となり取り消すことができます(民法第96条)。このようなケースでは、詐欺罪、脅迫罪、強要罪といった刑事事件に発展する可能性も考えられます。したがって、弁護士に相談するなどして、解除に向けての手続きを進めたほうが良いでしょう。

根保証契約を結んだ場合

根保証契約(民法第465条の2)とは、将来発生する不特定の債務を保証する契約のことをいいます。根保証契約の期間は一般的に任意ですが、原則として最長5年で、連帯保証人が通知しなければ自動的に更新されることになります。したがって、根保証契約の連帯保証人の解除をする場合には、更新する意思がない旨を通知するようにしましょう。

未成年者が連帯保証人になった場合

未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要となります(民法第5条1項)。そのため、未成年者が連帯保証人となった場合は、後から契約を取り消すことができます(民法第5条2項)。契約を取り消すためには、親権者か成年後の本人が、未成年者による契約であったことを内容証明により通知しなければなりません。なお、以下の場合は取り消すことはできないことに注意しておきましょう。

・未成年者ではないと嘘をついていた

・未成年者が結婚している

・後になって親権者が契約を承認した

・成人してから既に5年が経過している

連帯保証人の保証が解除できないケース

以下のケースでは、連帯保証人の保証を解除できませんので理解しておきましょう。

連帯保証人として一度でも返済をした場合

上記の「勝手に連帯保証人にされた場合」「契約内容に錯誤があった場合」「詐欺や脅迫により契約を結んだ場合」「根保証契約を結んだ場合」「未成年者が連帯保証人になった場合」であっても、連帯保証人として一度でも返済をした場合(錯誤・詐欺・脅迫の場合はその状況から抜け出したにも係らず返済をした場合、未成年者の場合は法定代理人や成年になった後に返済をした場合)、「追認(民法第125条)」をしたことになります。追認とは、不完全な契約の効力について事後的に認めてしまうことをいいます。身に覚えのない連帯保証契約であっても追認をしてしまうと、契約当初に遡ってその効力を認めてしまうことになります。すなわち、未成年者が連帯保証契約を結んだ場合、返済時点で成年になっていた時は、返済により追認したことになり、契約を取り消すことができません。また、錯誤や詐欺、脅迫状態でした返済は追認をしたことにはなりませんが、その状態から外れたにもかかわらず返済をした場合だと、追認したことになり契約を取り消すことはできません。そのため、債権者から請求がきた際には、すぐに支払うのではなく、まずは請求内容や状況を十分に確認したほうが良いでしょう。

離婚が理由の場合

また、配偶者の連帯保証人としては離婚をしたら連帯保証の責任を負いたくないところですが、配偶者の連帯保証人となっていた場合、離婚をしたとしても当然に連帯保証人から外れるわけではありません。例として、住宅ローンを組む際に、配偶者に連帯保証人となってもらうケースがあります。このような場合に、離婚をしたとしても連帯保証契約が解除されるわけではありません。ただし、上記の「勝手に連帯保証人にされた場合」「契約内容に錯誤があった場合」「詐欺や脅迫により契約を結んだ場合」「根保証契約を結んだ場合」「未成年者が連帯保証人になった場合」は、契約を解除できる可能性があります。

連帯保証人の経済状況が悪化した場合

また、前述の「債権者の合意がある場合」「代わりの連帯保証人を見つけた場合」「経営者保証の解除」の場合など、連帯保証契約を解除できるような場合であっても、これらの連帯保証契約の解除は債権者の合意に基づき連帯保証を解除するものですので、主債務者の経済状況が悪化した場合や支払不能になってしまった場合などにおいては、連帯保証を解除してもらうことはできません。ただし、上記の「勝手に連帯保証人にされた場合」「契約内容に錯誤があった場合」「詐欺や脅迫により契約を結んだ場合」「根保証契約を結んだ場合」「未成年者が連帯保証人になった場合」は、契約を解除できる可能性があります。

連帯保証人が保証を解除できずに請求された場合の対応

連帯保証契約を解除できずに、債権者から債務の履行を求められた場合の対応を以下で解説します。

債権者と支払方法について協議する

連帯保証契約を解除できない場合は、契約に基づいて、連帯保証人には債権者からの請求に応じる義務があります。つまり、債権者から請求があった場合には、基本的にその請求を拒むことはできません。ですが、請求金額が大きい場合、一括で連帯保証人が支払うのは難しいケースもあり、債権者と協議をして、支払方法を決めていくことが重要です。できるだけ有利な条件を引き出すことができるように、連帯保証人には慎重な対応が求められます。

支払いが困難な時は債務整理を検討する

債権者から支払いを求められた際に、連帯保証の経済状況によっては、支払いが困難なケースがあります。そのような場合は、債務整理を検討してみるようにしましょう。債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生の3つの方法があり、どれが最適かどうかは、連帯保証人の資産状況や負債内容によって異なります。

任意整理とは、現在の支払いよりも負担を軽くするために、支払期限を延ばしたり、将来利息をカットしたりすることにより、借金を完済する手続きです。任意整理では、元本が減るわけではないので、大幅な返済額の減額は難しいといえます。自己破産とは、裁判所に支払不能を認めてもらうことで、借金の支払い義務が免除される手続きです。自己破産では、一定以上の資産を有している場合には、それを手放さなければならないなどの注意点があることも理解しておきましょう。個人再生とは、裁判所から再生計画の認可を受けることで、借金を減額してもらう手続きです。このように、債務整理の方法にはそれぞれ異なる特徴があるため、ご自身の状況に適した債務整理の方法を選択する必要があります。

連帯保証人の保証を解除する場合の注意点

連帯保証人が保証を解除してもらいたい場合に、注意しておくべき点について以下で紹介します。

条件を整えても解除できるとは限らない

民法の規定により契約が無効・取消となる場合を除き、連帯保証契約を解除するかどうかは債権者の判断に委ねられます。そのため、代わりの連帯保証人を用意するなどして条件を整えたとしても、債権者が快く応じるとは限りません。人的な保証を約束するだけでなく、不動産などの物的担保を用意するなどの対策も検討しておくべきことを理解しておきましょう。

既に発生している債務は消滅しない

債権者が連帯保証契約の解除に応じたとしても、解除されるのは将来の保証についてのみです。例えば、解除前に主債務者が借金の返済を滞納していた場合、その返済義務は連帯保証人にも生じています。このとき、通常は滞納を解消したのちに、解除を要請します。しかし、仮に先に解除されたとしても、滞納分も含めて支払い義務を免除してもらえる場合を除き、既に発生している債務から逃れることはできません。

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連帯保証契約の解除を検討する際は弁護士に相談することがおすすめ

連帯保証人は法的にも強い拘束力を受けるため、連帯保証契約の解除を求めたとしても容易に解除してもらえる可能性は低いでしょう。また、債権者と契約解除について交渉をする際には、民法の規定に関する知識のみならず、粘り強い交渉力も必要となります。そのため、債権者と交渉をして契約解除を実現させるためには、知識や経験が豊富な弁護士に相談してみることがおすすめです。また、連帯保証契約の解除が認められなかったとしても、債務整理を視野に入れた解決方法も提案してもらうことができるため、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

連帯保証人側から自由に連帯保証契約を解除することはできませんが、場合によっては契約を解除できるケースがあります。民法の定めにより契約が無効・取消となるケースもありますが、個人による交渉では債権者が契約の解除に応じてくれる可能性が高いとはいえません。また、返済が困難で債務整理を検討するときにも、専門的な知識が必要となるため、問題でお困りの際は、弁護士に相談して解決を図るようにしましょう。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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