ビジネスローンとは?メリットやデメリット、借りた時の用途と審査について解説

事業を営んでいると突然資金が必要になることがあります。そんなときに利用できるのがビジネスローンです。

この記事では、ビジネスローンについて解説します。

ビジネスローンのメリットやデメリット、その用途や審査などについても詳しく解説するので参考にしてみてください。

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ビジネスローンとは

ビジネスローンとは、事業資金を目的としたローン商品です。主に銀行や信販会社や消費者金融が提供しています

ここから、ビジネスローンを利用できる人やビジネスローンの用途について詳しく解説します。

ビジネスローンを利用できる人

ビジネスローンを利用できるのは法人の経営者とフリーランスなどの個人事業主です。

何らかの事業を行っている人が利用対象であり、事業を行っていない個人は利用できません。

また、金融機関によっては「利用対象は20歳~69歳」等の年齢制限が設けられている場合があります。

ビジネスローンの用途

先述したとおり、ビジネスローンは事業資金に目的を絞ったものであり、用途としては、主に事業の運転資金(つなぎ資金)、設備投資の資金、開業資金等が必要な場合に利用されます。

一般的にカードローンやフリーローンでは、事業資金を目的に借り入れることが禁止されていますが、ビジネスローンであればそれが実現できます。

ただ、一般的にビジネスローンを利用するにはある程度の業績が必要なので、開業資金として借入するのは難しい可能性があるので注意が必要です。

ビジネスローンのメリット

ビジネスローンには以下3点のメリットがあります。

・総量規制の対象にならない

・審査が早い

・基本的に無担保・無保証人で借入できる

ここからはビジネスローンのメリットをそれぞれ解説します。

総量規制の対象にならない

総量規制とは、貸金業者が個人に貸付を行う場合は、本人の年収の3分の1を超えてはならないという貸金業法の規制です。

個人の返済能力を超えた借入を防ぐという利用者保護の観点から、このような規制があるため、個人事業主は希望する額を借入れできない可能性があります。

ビジネスローンはこの総量規制外なので、個人事業主であっても、年収の3分の1を超えて借り入れることが可能となります。

年収が高くない、なるべく多く借り入れたいという場合は、ビジネスローンを検討するとよいでしょう。

審査が早い

ビジネスローンは審査が早いため、通常の融資と比べて申し込みから融資までの期間が短く済みます。そのため至急資金が必要になった場合でも、素早く調達できるというメリットがあります。

金融機関によって異なりますが、銀行融資等は審査に2週間から1カ月程、長いと3カ月程度かかるのが一般的です。

一方ビジネスローンは、最短で即日、遅くとも1週間から10日程度で融資を受けることができます。

基本的に無担保・無保証人で借入できる

ビジネスローンは、基本的に無担保・無保証人で利用することができます。

金融機関によっては不動産等の担保が求められることがありますが、ほとんどの場合、担保が無くても借り入れることが可能です。

担保にできるものを有していない、保証人を頼める人物がいないという場合は、ビジネスローンを検討するとよいでしょう。

ビジネスローンのデメリット

ビジネスローンには以下3点のデメリットがあります。

・金利が高い

・借入限度額が低い

・将来の融資に影響が出る可能性がある

ここからは、ビジネスローンのデメリットをそれぞれ解説します。

金利が高い

ビジネスローンのデメリットとして第一に挙げられるのは、金利が高いことです。

一般的に、通常の銀行融資の金利は1%台~3%台(1%以下もあり)ですが、ビジネスローンの金利は5%~15%、高いところだと18%前後となります。

「来月には返済できる」等、短期で借り入れるのであればよいですが、返済期間が長くなると、利息が膨らみ返済金額が高額になる可能性があるので注意が必要です。

借入限度額が低い

借入限度額が低いこともビジネスローンのデメリットです。

通常の銀行融資の場合、数千万円~数億円程度借り入れできますが、ビジネスローンで借入できるのは最大でも数百万円であることがほとんどです。

なので高額な設備投資等の資金を調達する場合は、ビジネスローンは適さないでしょう。

将来の融資に影響が出る可能性がある

ビジネスローンで借入を行うと、決算書に借入先を記載することになるため、今後融資を受ける際、審査に影響する可能性があります。

何故なら、銀行融資等ではなくビジネスローンを利用していると、「銀行融資を利用できなかった=資金繰りが苦しいのでは」と金融機関から捉えられる可能性があるためです。

勿論、事業状況や財務状況が良好であれば問題ありませんが、このような印象を持たれる可能性がある点には注意しましょう。

ビジネスローンと他の資金調達方法の比較

ビジネスローンと他の資金調達方法とどのような違いがあるのでしょうか。

事業資金の調達方法としては、ビジネスローンの他に、銀行や信用金庫からの融資や政府関係金融機関からの融資等があります。

取り扱い事業者によって異なりますが、一般的には以下のような違いがあります。

ビジネスローン 銀行・信用金庫 政府関係金融機関
融資限度額 500万円~1000万円程度 5000万円~1億円程度 小規模企業の場合、7200万円程度

中小企業の場合、7億2000万円程度

金利 5%~18%程度 1%~3%程度 0.3%~3%程度
審査にかかる期間 即日~10日程度 1週間~3カ月程度 1カ月程度
審査基準 通りやすい やや厳しい やや厳しい
担保の要否 原則不要 必要 原則不要

事業資金を借り入れるのに最も一般的なのが銀行や信用金庫の融資かと思われます。

銀行や信用金庫の融資は、ビジネスローンと比べて、金利が低く返済期間も長期で設定できるメリットがある一方で、審査が厳しく時間がかかるというデメリットもあります。また基本的に担保や保証人が必要なので、ビジネスローンよりハードルが高いと考えられます。

政府関係金融機関とは、政府が設立した金融機関であり、中小企業の多くは日本政策金融公庫を利用します。

銀行や信用金庫に比べて低金利なのが特徴で、ビジネスローンと同じく無担保・無保証で借入ることができます。さらに返済期間も長期で設定できるため、資金繰りが苦しい企業にとっても利用しやすいと考えられます。ただ審査が厳しく、審査に1カ月程度かかるので、至急資金が必要な場合は不向きと言えます。

事業を始めたばかりで実績が無く審査に自信がない、急いで資金を調達したいという場合は、ビジネスローンが利用しやすいでしょう。

ビジネスローンの審査の流れ

一般的に、ビジネスローンの手続きは以下の流れで進みます。

①申込み
②仮審査
③必要書類の提出
④本審査
⑤ビジネスローン実行

まずは郵送やインターネットでビジネスローンの申込みを行います。

利用機関によって異なりますが、申込みが完了すると、本審査に進む前に申込者の基本情報に基づいた仮審査が行われます。

仮審査を通過したら、申込者はビジネスローンに必要な書類を提出します。必要書類は法人と個人事業主で異なるのですが、法人の場合は法人設立届出書、商業登記簿謄本、印鑑証明書、直近2年分の損益計算書や貸借対照表等の財務諸表、事業計画書、納税証明書であることが一般的です。また個人事業主の場合は、直近2年分の確定申告書と決算書、事業計画書、銀行口座の通帳や残高証明書等の提出が求められます。

そして本審査に通過したら、利用機関と契約を締結してビジネスローンを利用することができます。

ビジネスローンの審査に落ちる原因

ビジネスローン の審査に落ちる主な原因としては、以下の4点が挙げられます。

・返済能力が無いと判断された

・信用情報に傷がついている

・起業して間もない

・税金を滞納している

ここからは、それぞれの原因について解説します。

返済能力が無いと判断された

返済能力が無いと判断された場合は、ビジネスローンを利用できません。

確かにビジネスローンは銀行融資や政府関係金融機関等よりも審査に通りやすいのですが、貸す側は回収を前提とするので当然返済能力を重視します。

なので安定した収入があり、返済能力があることを示せない場合は審査に通らない可能性があります。

例えば、債務超過に陥っておりその度合いが大きい場合、赤字決算が続いている場合等は返済能力がないと判断される可能性があるでしょう。

業績不振の場合は、事業計画書等で事業に将来性があり、返済能力があることをアピールすることが重要です。

信用情報に傷がついている

ビジネスローンの審査では信用情報も重視されます。

過去にローン返済の遅れがある、債務整理や破産をしたことがある場合等は個人信用情報に傷が付いてるため、審査に大きな影響を及ぼします。

現在何らかの金融商品で返済を行っている場合は、滞納しないよう注意が必要です。

起業して間もない

ビジネスローンの審査では業歴も重視されるため、起業してから間もない場合も審査に通らない可能性があります。

一般的にビジネスローンの利用には2期分の決算書の提出や、2年間の事業実績が条件であることが多く、この条件が無くとも1年間の事業実績が求められます。

起業してから1年未満の場合でも、事業計画や利益の推移等で審査されますが、審査がやや厳しくなると考えられます。

税金を滞納している

税金に滞納がある場合もビジネスローンの審査に落ちる可能性があります。

国民の義務でもある納税を怠っている場合、貸し倒れリスクがあると判断される可能性があります。

未納の税金がある場合はすぐに完納するよう努めましょう。

ビジネスローンの審査で重視されるポイント

ビジネスローンの審査で ポイントは以下の4 です。

・決算情報

・信用情報

・事業計画

・借入額・返済期間

ここからは、それぞれの重視されるポイントについて解説します。

決算情報

ビジネスローンの審査において、決算情報は非常に重要となります。

先述したとおり、ビジネスローンの審査には2年以上の決算書の提出を求められることが多く、法人や個人事業主の事業の収支や資産、負債等の財務状況を見て、返済能力の有無が確認されます。これらが良好でないと返済能力が無いと判断される可能性があるので、事前によく確認し、欠損金が積みあがっている場合等は、借入金や損失を減らす工夫が必要でしょう。

信用情報

先述したとおり、信用情報はビジネスローンの審査に大きく関わります。

個人信用情報は信用情報登録機関に登録されており、ローンやクレジットカード等の申し込み状況や利用状況、返済状況等を参照することが可能です。

ビジネスローンの審査では、必ず法人の代表者や個人事業主の個人信用情報が確認されます。その結果、信用情報に傷がある場合は、融資を見送られてしまう可能性があります。

事業計画

ビジネスローンの審査では、事業計画書も非常に重要となります。

金融機関は、将来的な展開や経営戦略等の今後の事業計画の情報をもとに、事業の現実性・収益性・将来性があるかを判断します。

特に、業績が浅く、2年以上の決算書を提出できない場合は、事業計画書で将来性をアピールすることが重要でしょう。

借入額・返済期間

借入希望額や返済期間によっては、ビジネスローンの審査を通過しにくくなります。

例えば、返済実績が無いにもかかわらず、初回契約で借入希望額を高くすると、審査に落ちてしまう可能性があります。

新規申込みの際は、借入希望額を低めに設定し、返済実績を積んでいくことで審査に通りやすくなるでしょう。

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具体的なビジネスローン商品

ビジネスローンの商品には、銀行・信販会社・クレジットカード会社・消費者金融が提供するものがあります。ここからはビジネスローン商品をいくつか紹介します。

みずほスマートビジネスローン

みずほスマートビジネスローンは、みずほ銀行が提供する中小企業向けのビジネスローン商品で、オンラインで完結できるのが特徴です。オンライン完結型なので来店不要で、さらに決算書不要で最短2日で審査が完了します。金利は1%台~14%台です。

ビジネスローン融活力

ビジネスローン融活力は、三菱UFJ銀行が提供するビジネスローン商品です。一般向けの金利は年2.35%~9.0%ですが、三菱UFJ銀行と提携する会員税理士からの紹介であれば、年0.25%となるのが特徴です。

ビジネスセレクトローン

ビジネスセレクトローンは、三井住友銀行が提供する中小企業向けのビジネスローン商品で、借入上限額が1億円以内と、他のビジネスローン商品と比べて大きいのが特徴です。

金利は2.125%~で、審査結果に応じた金利が設定されます。

あんしんワイド

あんしんワイドは、GMOあおぞらネット銀行が提供するビジネスローンで、2022年5月に開始した法人向けのサービスです。融資枠の範囲内でいつでも、何度でもインターネットバンキングから借入れすることが可能で、さらに審査や手数料が不要です。金利は0.9%~14%程度となります。

AGビジネスサポート

AGビジネスサポートは、AGビジネスサポート株式会社が提供するビジネスローンで、オンライン完結型で、さらにWeb上や全国のATMで借入れ・返済が可能なのが特徴です。金利は3%~18%となります。

VIPカードローンBUSINESS

VIPカードローンBUSINESSは、オリックス・クレジットが提供するビジネスローンで、スピーディな審査が特徴です。14時半までに手続きし審査がスムーズに進めば即日の融資が可能となります。金利はコースによって異なりますが、大体6%~18%程度です。

オージェイの無担保融資

オージェイが提供する無担保融資では、名前の通り無担保・無保証人で融資を受けることができます。また2000万円まで借入が可能であり、即日融資も対応しています。金利は10%~15%となります。

スモールビジネスローン

スモールビジネスローンは、株式会社ビジネスパートナーが提供するビジネスローンで、最大500万円の融資が受けられます。事業資金の範囲内であれば資金使途が基本的に自由であり、柔軟性があることが特徴です。ただ郵送での申込みになるため即日融資を受けられない点には注意が必要です。金利は9%~18%となります。

事業融資・ビジネスローン

事業融資・ビジネスローンは、オリコカードが提供するビジネスローンで、オンライン完結型で来店不要となります。また事業資金であれは資金使途は自由なのも特徴です。金利は6%~18%となります。

不動産担保ローン

不動産担保ローンは、セゾンファンデックスが提供するビジネスローンで、他のビジネスローン商品とは異なり担保を重視した審査を行います。また金利が2%~9%程度と比較的低く、審査も早いのが特徴です。不動産を担保に入れられる場合はこのビジネスローンの利用を検討するのもよいでしょう。

ビジネスローンの審査に落ちた場合の対処方法

これまでビジネスローンの審査について解説しましたが、もし審査に落ちてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

ビジネスローンの審査に落ちた場合の主な対処法としては以下の2点があります。

・他の方法で資金調達する

・ファクタリングを利用する

ここからは、それぞれの対処法について解説します。

他の方法で資金調達する

ビジネスローン以外の資金調達方法には、カードローンやクレジットカードのキャッシングやクラウドファンディングがあります。

カードローンは、銀行や消費者金融が提供するキャッシングサービスで、契約後は限度額の範囲で繰り返し利用することができます。またビジネスローン同様、無担保・無保証人で借入れできることが多く、審査も早いのが特徴です。ただ、総量規制の対象となることや金利が高めであること、借入限度額が低い等デメリットもあるので注意が必要です。

クレジットカードのキャッシングも、特徴としてはカードローンと似ているのですが、一般的にカードローンよりも金利が高く、また事業資金を目的とした借入れが禁止されている場合があります。また借入限度額もカードローンより低いことが多いので、事業の資金調達にはやや不向きと考えられます。

最近注目を集めている資金調達の方法が、クラウドファンディングです。

クラウドファンディングとは、事業者がプロジェクトや必要資金をサービスサイトに掲載し、そのプロジェクトの支援者から資金提供を受ける方法です。

宣伝効果がある、支援者へのリターンの種類を選べる等のメリットがあり、さらに実績が無くても発案した商品やサービスに魅力があれば資金調達に成功する可能性があります。

銀行融資を利用できなかった際は、クラウドファンディングを検討するのもよいでしょう。

ファクタリングを利用する

ファクタリングとは、売掛債権がある場合に、ファクタリング事業者に売掛債権を売却することで、支払い期日より前に資金を調達する方法です。

ファクタリングは売買契約であり融資とは異なるため、利用しても貸借対照表の負債部分の項目に追加されず、信用情報にも傷が付かないというメリットがあります。またビジネスローン同様、無担保・無保証で利用でき、審査に時間がかかりません。ただし、銀行融資に比べて手数料が高額である点や売掛金の範囲でしか資金調達できない点には注意が必要です。

売掛金がある事業者は、ファクタリングを検討するのもよいでしょう。

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まとめ

ビジネスローンは事業資金を目的としたローン商品です。審査が早く、無担保で借入できる等のメリットがある一方、金利が高く将来の融資に不利になる可能性がある等のデメリットがあります。またビジネスローンの審査に通過するには、返済能力や将来性、信用情報が重要となります。

紹介したとおり資金調達の方法は色々ありますが、それぞれの事業者に合った方法を選択することが重要です。

弁護士等に相談することで、資金調達について的確なアドバイスを受けることができ、また潜在的なリスクを回避できるでしょう。

資金調達についてお悩みの方は、一度弁護士に相談されてはいかがでしょうか。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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