最近、破産管財人が強硬な債権回収を行う傾向があるようです。
破産管財人とは、個人や会社が破産をする場合、その破産者の財産調査を行ったり、その破産者の財産を監禁したり、その破産者が他者に対して有する債権を回収するなどの業務を行う弁護士であり、裁判所が破産管財人として指名する弁護士です。
破産管財人は、破産者を取ります多くの利害関係人の利益のために職務を行うべきものですが、主として、破産者に資金を貸したりその他の債権を有している債権者の利益を確保するべく、破産者の財産を最大限確保することが任務です。
そのような、裁判所から指名される公務員的な存在でありかつ職務上公正であるべき破産管財人ですが、近年、破産者とあまり関係のない者に対して、強硬に債権を回収しようとしたり、破産者と不当な取引を行ったとして責任追及をしようとすることが多くなっているようです。
例えば、破産者の取引先から商品を購入した会社に対して、強硬に、その商品の返還を求めたり、破産者と取引のあった会社に対して、強引に取引条件を変更するとして追加代金を要求したり、破産者から事業譲渡を受けた会社に対して、事業の一部については譲渡の対象ではなかったとして不当利得の返還を求めたり、破産者のM&Aを手掛けたM&A仲介業者に対して仲介手数料やアドバイザリー報酬の一部返還を求めたり、、、、。
これが公明正大な公務員に準じる裁判所が指名した破産管財人なのか!!、これはあの人格者であるべき破産管財人なのか!!と、その行動の893加減については恐れ入るような振る舞いをされることが多くなっているようで、そのような相談を受けることが多くなっています。
その特徴としては、破産管財人の方から明確な証拠などを提示することなく、不当利得を得ているとの明確な資料を開示することなく、半分恫喝的に交渉を仕掛けてきて、裁判所が指名した破産管財人がそのように言っているのだからそうしなければいけないのだろうと一般市民に思わせることで、一般市民に「やむを得ない」と思われせ、任意に支払いを行わせようというものです。
なぜこのような公明正大であるべき裁判所が指名した破産管財人がそのようなことをするのでしょうか。
これには、おそらく以下のような事情が背景にあるものと思われます。
特に近年、弁護士が増加して失業する弁護士が増えているという話もありましたが、その中でも特に、破産や倒産を専門とする弁護士が仕事がなくなって生活に窮しているという話があります。
すなわち、近年、政府のテコ入れもあり、日本では破産や倒産が極限まで減少しており、経済的には何とかなっている状態ですが、そのため、破産や倒産を専門とする弁護士の仕事が急減して、実質的に失業状態に陥っている弁護士が多く存在するのです。
当事務所でも、破産や倒産を専門とする弁護士からの転職の申し込みが多かったことがあり、それらの弁護士はもう破産や倒産ではメシを食っていくことはできないので転職するということを言っていました。
そのような弁護士にとっては、裁判所から指名される破産管財人という仕事は、唯一かつ最もおいしい仕事であり、それにしがみつくことが至上命題です。
多数の破産や倒産を専門とする弁護士が、裁判所から破産管財人に指名されようとして、激しい競争を行っているのです。
また裁判所が破産や倒産を専門とする弁護士をどのように評価しているのかという点も重要です。裁判所は、破産や倒産を専門とする弁護士を、最大限に債権回収をして、最大限に債権者に返還した(配当した)弁護士を最も優秀な弁護士と認定し、そのような弁護士に優先的に破産管財人の仕事が割り振られる傾向にあるようです。そのような弁護士が巨大な破産事件の仕事を回してもらい大きく稼ぐことができるのでしょう。
そのように裁判所に覚えが良くなるためには、一般市民を多少犠牲にしても、多額の資金を回収した方が、裁判所の評価も上がり破産管財人の仕事を回してもらえるということでしょう。
当事務所も、近年、このような破産管財人から不当な要求をされているという相談を受けるようになり、まさか!と思いつつ対応していたら、まさに、破産管財人から怒鳴り声をあげられる、揚げ足を取られる、軽くうなづいたことを「認めたじゃないか!」「嘘をついたのか!」などなどまさに893の交渉術という書籍に出てくるように責め立てられ、驚愕したことが多々あります。
しかし、理不尽な要求は理不尽な要求であり、不当な要求は不当な要求であり、根拠のない要求は根拠のない要求であることに変わりがありません。
ここは、裁判所から指名を受けた公明正大な公務員である破産管財人の言うことをうのみにせず、理不尽な要求は理不尽な要求であり、不当な要求は不当な要求であり、根拠のない要求は根拠のない要求であることをしっかり伝え、不当な要求には対抗してゆくことが必要です。
破産管財人の不当な要求にお困りなら、是非、弁護士にご相談ください。