新創業融資制度とは?資金が足りない開業時に役立つ融資制度をくわしく解説

開業をするためには資金調達が重要ですが、銀行から融資を受けるのは難しいものです。

そこで、日本政策金融公庫を利用するのが一般的ですが、公庫には創業時に利用可能なものとして制度制度に新創業融資制度があります。

この制度は、資金が足りない起業家たちに手厚い支援を提供するものです。

この記事では、新創業融資制度について解説しますので、資金調達をお考えの方は参考にしてみてください。

目次

新創業融資制度とは

新創業融資制度は、新規事業のために必要な資金を融資する日本政策金融公庫の制度です。

創業に必要な資金の調達は、会社を立ち上げるための障壁になりますが、新創業融資制度はその解決策として注目されています。

新創業融資制度は、新規事業のために必要な資金を融資する日本政策金融公庫の制度です。

この制度は、一般的な融資と異なり、創業期の企業に特化しています。

資金調達が難しい創業期において、新創業融資制度を活用することでよりスムーズに事業をスタートさせることができます。

新創業融資制度の概要は次のようになっています。
・開業のための資金や、開業後の設備資金や運転資金に使用できます。
・最大3,000万円(運転資金はそのうち1,500万円まで)の融資が受けられます。
・返済期間は、併用する融資制度によって決まります。
・金利は、1.05%~3.45%(令和5年3月1日現在)で、定期的に改定されています。
・担保や保証人は、原則として不要です。

新創業融資制度の特徴は、事業の実績がない創業期でも担保・保証人なしで融資を受けられるところにあります。

他方で、この制度を利用する際には気をつけるべき点もあります。
一つ目は、金利が定期的に改定されることです。
二つ目は、他の融資と併用する必要があることです。

ここからは、新創業融資制度の特徴と注意点について見ていきましょう。

無担保・無保証の融資制度

新創業融資制度は、担保や保証人を用意することなく融資を受けることができる制度です。

この制度を利用することで、創業者のリスクが軽減され、起業がしやすくなります。

通常の融資では、不動産などの担保を用意するか、保証人を立てることが求められます。

しかし、新創業融資制度ではこれらが不要で、最悪の場合でも財産を失ったり、保証人に迷惑をかけたりすることがありません。

ただし、法人が融資を受ける場合には、代表者が連帯保証人になることで金利を0.1%引き下げることができます。

金利が重要になる場合には、これを利用することも可能です。

注意点①:利用時期により金利が異なる

新創業融資制度の金利は、社会経済や金融の情勢に応じて定期的に改定されます。

そのため、計画段階と実際の融資時では、金利が異なる場合があります。

利用の際には、最新の金利を確認することが重要です。

注意点②:他の融資と併用する必要がある

新創業融資制度は、他の融資と組み合わせることが前提となります。

新創業融資制度だけでなく、日本政策金融公庫の他の融資も申し込む必要があります。

例えば、日本政策金融公庫では、以下のような融資を取り扱っています。

・新規開業資金
・新事業活動促進資金
・海外展開・事業再編資金

これらの融資にもそれぞれ条件がありますので、注意してください。

新創業融資制度の条件を満たすことに加え、併用する他の融資の条件も満たす必要があります。

新創業融資制度の要件について

ここでは新創業融資制度の要件について確認します。

要件は、対象者についてのものと、自己資金についてのものがあります。

以下で詳しく見ていきましょう。

これから開業する方、または開業後間もない方

新創業融資制度は、新しく事業を始める起業家の方を対象としています。
また、すでに事業を開始している場合でも、税務申告を2期分済ませていない方は利用できます。

適正な事業計画と、その遂行能力

日本政策金融公庫公庫は、この制度の対象者について、適正な事業計画の策定と、その計画の遂行能力が十分にあることを求めています。

日本政策金融公庫は、事業計画等が適切かどうか、実行能力があるかどうかを審査しますので、納得させられる書類を作成することがポイントになります。

10分の1以上の自己資金が必要

これから事業を開始する方と、起業後まだ一度も税務申告をしていない方は、自己資金を創業資金全体の10分の1以上用意する必要があります。

注意すべき点は、この要件は申込みのための最低額を定めてあるに過ぎないことです。
実際に融資を受けるためには、創業資金の3分の1以上の自己資金を用意する必要があるとされています。
自己資金が多ければ多いほど、審査は有利になります。

そのため、例えば創業資金が600万円の場合には、60万円ではなく、200万円以上の自己資金を用意しておくことが望ましいといえます。

自己資金要件を満たすとされる場合

一定の場合には、資金がなくても自己資金の要件を満たすものとされることが定められています。

例えば、勤務中の会社と同業種で起業する場合、現在の会社に継続6年以上勤務しているか、同業種の会社に通算6年以上勤務していれば、自己資金要件を満たすとされています。

要件の詳細は、日本政策金融公庫のWebサイトで確認できます。

参照:新創業融資制度の『自己資金の要件を満たすものとする要件』

なお、この要件に該当する場合でも、できるだけ多くの資金を準備しておく方が融資の審査には有利になります。

新創業融資制度の金利について

新創業融資制度は、起業を容易にするために、低金利での融資を実現しています。

ここでは、具体的な金利はどのくらいなのか、金利に影響を与える要素は何があるかについて解説します。

新創業融資制度の金利はどの程度か

令和5年3月1日現在で、新創業融資制度が適用される場合は、基準利率が2.45%~3.45%となっています。

一定の要件を満たした場合に適用される特別利率は8種類あります。
特別利率は、基準利率よりも低く設定されています。
利率は、最も優遇されるE区分では1.05%~2.05%です。

金利は定期的に改定されますので、詳細は日本政策金融公庫のホームページでご確認ください。

参照:国民生活事業(主要利率一覧表)

金利に影響を与える要素

新創業融資制度には、基準利率の他に特別利率があります。

また、それぞれの利率には幅があるため、具体的に適用される利率は場合によって異なってきます。

具体的な金利に影響を与える要素としては、各融資制度に設定された特別な要件と、返済されないリスクが挙げられます。

また、創業支援貸付利率特例制度の利用も金利に影響します。

これらの要素に配慮することで、金利を抑えられる場合があります。

各融資制度に設定された特別な要件を満たす

日本政策金融公庫公庫の融資には、一定の要件を満たした場合に特別利率が適用される旨が定められているものがあります。

例えば、新規開業資金では、創業者が女性や35歳未満あるいは55歳以上の場合には、特別利率Aが適用されます。

また、新規性の認められる技術やノウハウなどを有していると、特別利率A~Dのいずれかが適用されます。

このように、融資制度ごとの特別な要件を満たすことで、優遇された特別利率を利用することができます。

返済されないリスクを下げる

一般的に、返済されないリスクが高い場合には金利も高くなります。

融資を行う側は、返済されなかった場合に備えて利益の中から一定の額を準備しておく必要があるからです。

そこで、返済されないリスクを下げることで、金利を下げることも可能になると考えられます。

具体的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。

・保証人を付ける
・借入金額を少なくする・借入期間を短くする
・延滞やリスケジュールをせず、予定通りに返済した実績を積む
・特許などの知的財産権を取得し、利益を生み出すようにする
・実現可能性が高く、利益を期待できるような事業計画書を作成する

創業支援貸付利率特例制度を併用する

創業支援貸付利率特例制度この特例制度は、要件を満たせば利率を0.65%引き下げることができるものです。

雇用の拡大を図る場合であれば、引き下げ幅が0.9%になります。

適用には審査が必要ですが、創業支援貸付利率特例制度を併用することで利率を抑える事が可能です。

新創業融資制度の返済

新創業融資制度の返済に関するトピックを返済方法について解説していきます。

基礎となる融資制度によって返済期間は異なる

新創業融資制度の返済期間は、併用する他の融資制度によります。

そのため、何を利用するかにより、返済期間は異なってきます。

一例として、新規開業資金を使う場合は次のようになっています。
・設備資金は20年以内
・運転資金は7年以内
・据置期間はいずれも2年以内

据置期間のメリット・デメリット

据置期間とは、元本の返済を猶予され、金利分の返済のみを行う期間のことです。

例えば、新規開業資金の場合では、2年以内で据置期間を設定できます。

据置期間のメリットとしては、期間内の返済額を低く抑えることができることです。

創業期は、利益を生み出すまで時間がかかることもあるため、据置期間を利用することで経営が安定する効果があるといえます。

一方、デメリットとしては、全体的な返済額が増えてしまうことです。

据置期間を利用すると、その期間は元本を返済によって減らすことができませんので、金利分の返済額も減らせません。

そのため、据置期間が長いほど金利分の返済額が増加し、全体としての返済額も増えることになります。

返済に遅れが生じた場合の対応策

予定通りに返済ができず、延滞をしていると以下のような不利益が生じます。
・遅延損害金の発生(年8.70%、2022年4月1日~2023年3月31日の貸付けの場合)
・信用情報に延滞履歴が記録される
・返済の督促
・最終的には訴訟・強制執行

こうなってしまうと事業に大きく影響しまいますので、適切に対応する必要があります。

ここでは、リスケジュールと債務整理という対応策を紹介します。

リスケジュールを申し込む

リスケジュールとは、貸付の条件を変更してもらうことです。

交渉により、返済日程を変えてもらったり、毎月の返済額を減らしてもらったりすることになります。

返済が難しいことがわかったら、できるだけ早期に公庫日本政策金融公庫の担当者に相談することで、可能な返済プランに変更してもらえることがあります。

延滞をする前に、担当者に事情を丁寧に伝えて相談するようにしましょう。

債務整理をする

どうしても返済ができない場合は、債務整理をすることも考えられます。

債務整理は、弁護士を立てて手続きと交渉を進めていくことになります。

具体的な債務整理の方法には、次のものがあります。
・任意整理(裁判所を通さない、債務を一部減)
・個人再生(裁判所を通す、債務を一部減)
・自己破産(裁判所を通す、債務を全部減)

具体的にどの方法を選択するかは、返済の可能性、融資の残高、といった観点から検討することになります。

繰上げ返済はできるか

繰り上げ返済とは、予定の返済期間の前に融資残額を一括して返済することで、一括返済や繰上償還と呼ばれることもあります。

結論から述べますと、繰り上げ返済は可能です。

経営が順調に進み十分な利益が上がったときには、早く融資の返済を終わらせたいと考えることがあるかもしれません。

もっとも、日本政策金融公庫公庫の側から見れば、予定していた利息収入がなくなってしまうとともに融資額が減ってしまうため、望ましいことではありません。

そのため、将来的に再融資を受ける場合に備えて、日本政策金融公庫公庫と良好な関係を維持しておくという観点からは避ける方がよいとも考えられます。

また、一度に返済してしまうことで、利用できる手元資金が減ってしまうこともデメリットとなります。

繰り上げ返済は、デメリットも踏まえて慎重に検討しましょう。

新創業融資制度の審査基準

新創業融資制度の審査基準で重視される項目について解説します。

高い自己資金割合

自己資金は、創業資金総額の10分の1以上が申込みの要件となっていました。

しかし、現実には3分の1以上が審査を通過する目安になるとされています。

自己資金割合は高い方が審査に有利になりますので、多く準備できるように心がけましょう。

十分な内容の事業計画

十分な内容のある事業計画を提出することもポイントです。

日本政策金融公庫公庫が融資を判断するためには、返済の確実性が重要になります。

そのため、実現可能性が高く、内容の充実した事業計画を示すことで、将来的な売上の予測が立ち、融資実行の判断をしやすくなると考えられます。

業務についての経験や能力

業務経験や業務に関する能力も重視されます。

新たに企業を立ち上げる場合は、事業の実績が存在しないため、融資を判断するために将来の見込みを考慮することになります。

そのため、十分な業務経験や能力を証明できれば、堅実に利益を上げることが期待でき、融資の審査に有利になります。

職務経歴書や、業務に関係する資格や免許などを用意しておくとよいでしょう。

信用情報と支払状況

審査にあたって申込者の信用情報や、税金等の支払状況が調査されます。

ローンの返済が滞っていたり、税金や公共料金の滞納があったりすると、返済能力を疑問視され、審査に大きくマイナスになります。

税金・公共料金はきちんと納めるとともに、ローンの支払い等にも問題が生じないように気を配る必要があります。

新創業融資制度の手続きの流れ

新創業融資制度の手続きの流れについて確認していきましょう。

電話相談・窓口相談

必要な場合は、申込みの前に、電話で制度の内容や手続きについて相談をすることができます(日本政策金融公庫の事業資金相談ダイヤル)。

予約をすれば、窓口やオンラインでの相談を受けることも可能です。

事前に相談して、手続きの流れや必要書類などを確認しておくとよいでしょう。

必要書類の準備

申込みに必要となる書類は以下のとおりです。
・借入申込書(郵送申込みの場合)
・創業計画書
・履歴事項全部証明書・登記簿謄本(法人の場合)
・見積書(設備資金の申込みをする場合)
・都道府県知事の推薦書等(生活衛生関係営業で申込金額500万円超の場合)
・許認可証(許可や届出が必要な事業を営む場合)

これらの必要書類を準備し、内容を記載します。

融資の申込みを行う

融資の申込みは、インターネットから年中無休で行うことができます。

郵送で申込みを行うことも可能です。

担当者と面談

申込み後1週間ほどで面談となります。

面談では、融資担当者から事業計画などについて尋ねられますので、説得力のある説明ができるように心がけましょう。

なお、面談の際には、事業計画に関する資料や、資産・負債がわかる資料を提出する必要があります。

担当者の指示に応じて、創業計画書や月別収支計画書などに関係する資料や、預金通帳、固定資産税の課税明細書、ローンの明細書といった資産・負債に関係する書類を用意できるようにしておきましょう。

融資の審査と結果の通知

面談が終了すると、日本政策金融公庫公庫は融資の審査を行い、結果を通知します。

おおよそ、面談から1~2週間ほど後になります。

融資が実行される場合は、金銭消費貸借契約を締結します。

融資の実行

契約が済むと、1週間程度で指定の金融機関に資金が振り込まれます。

新創業融資制度と新規開業資金との違い

新創業融資制度と似た名称の融資制度に、新規開業資金というものがあります。

これらの違いはどこにあるのでしょうか。

結論から述べますと、最も大きな違いは、本体となるのが新規開業資金で、オプションとして位置づけられるのが新創業融資制度というところにあります。

新創業融資制度は、他の融資と組み合わせる必要があります。

新創業融資制度を単独で使うことはできませんので、本体になる新規開業資金などの融資制度に追加する形で利用することになります。

そのため、本体となる融資制度を、無担保・無保証にするためのオプションが新創業融資制度であるといえるでしょう。

これに対して、新規開業資金は単独で利用することが可能です。

新規開業資金は、単独で利用する場合は無担保・無保証ではありません。

しかし、新創業融資制度などと併せて利用することで、無担保や無保証を実現することができます。

新創業融資制度のメリット

新創業融資制度のメリットは、融資実行までが早いことと、担保が要らないことでには、以下の2点があります。

・融資実行までが早いこと

・無担保・無保証であること

ここで、それぞれについて解説します。

融資実行までが早い

新創業融資制度で融資が実行されるまでの期間は、一般的には1ヶ月程度とされています。

過去に日本政策金融公庫公庫から融資を受けたことがある場合は、それよりも短い期間で審査が終わることもあります。

他の融資では2~3ヶ月以上かかることもあるため、比較的短期間で融資を受けることができます。

無担保・無保証

新創業融資制度は、担保や保証人を必要とせずに融資を受けられます。

創業者の経済的なリスクが低くなるため、起業に必要な資金調達がしやすくなっています。

新創業融資制度のデメリット

新創業融資制度には、以下次のように3つの次のようなデメリットもあります。
・審査を通過する必要があること
・利率がすこし高くなること
・満額の融資がされるとは限らないこと

ここでは以下で、それぞれについて確認していきましょう説明していきます。

審査を通過する必要がある

融資が実行される前に審査があります。

審査を通過できなければ、新創業融資制度を利用できません。

利率がすこし高くなる

新創業融資制度では、担保を提供する場合と比べて利率が高く設定されています。

そのため、返済の負担が増えることになります。

満額の融資がされるとは限らない

審査を通過して融資を受けられることになっても、必ずしも満額の融資がされるとは限りません。

実際に融資される額は、審査の結果によります。

そのため、予定していた資金の一部しか調達できない場合もあります。

新創業融資制度の他に起業家が利用できる融資制度

起業の際に利用できる融資制度を、以下のでいくつか4つご紹介します。

・新規開業資金
・創業支援貸付利率特例制度
・制度融資
・協調融資

それぞれ詳しく解説していきます。

新規開業資金

新規開業資金は、日本政策金融公庫が提供している、起業家のための基本的な融資制度です。

概要は以下のとおりです。

対象者 新しく事業を始める方や、起業後おおむね7年以内の方
資金使途 創業資金や設備資金、運転資金に使用可能
融資限度額 7,200万円(運転資金はうち4,800万円まで)
返済期間 設備資金20年以内(据置期間はうち2年以内)
運転資金7年以内(据置期間はうち2年以内)
利率 原則として基準利率
ただし、一定の要件を満たすと特別利率A~Dのいずれかが適用されます
なお、創業後目標達成型金利が適用される場合は利率が0.2%引き下げられます
担保・保証人 原則として必要になります

ただし、新創業融資制度等を併用可能です

創業支援貸付利率特例制度

創業支援貸付利率特例制度は、他の制度と併用して利率を引き下げる特例制度です。

審査はありますが、新規開業資金、新創業融資制度、創業支援貸付利率特例制度の3つを併用することも可能です。

対象者 新しく事業を始める方や、起業後に2期分の税務申告が終わっていない方
融資限度額 併用する融資制度によります
返済期間 併用する融資制度によります
利率 原則、併用する融資の利率から-0.65%
雇用の拡大を図る場合は、併用する融資の利率から-0.90%

制度融資

制度融資とは、自治体・信用保証協会・金融機関の三者連携によって実施されている融資です。

制度融資では、自治体が信用保証協会の保証料の一部を補助し、金融機関には融資の原資となる資金を預託します。

信用保証協会は、金融機関に対し融資の保証を行います。

これにより、金融機関は貸付原資と保証を得られることで融資のリスクが低減し、低金利で積極的な融資をしやすくなります。

事業者にとっては、保証料と金利の負担が低くなるメリットがあります。

制度融資の内容は自治体によって異なりますので、それぞれご確認ください。

一例として、東京都では、東京都中小企業制度融資『創業』という融資が提供されています。

参照:東京都中小企業制度融資『創業』

協調融資

協調融資とは、複数の金融機関が連携して実施する融資のことです。

日本政策金融公庫は、民間の金融機関との連携に特に力を入れています。

参照:民間金融機関との連携の取り組み|日本政策金融公庫

協調融資のメリットは、日本政策金融公庫公庫と民間金融機関の双方が分担して貸付を行うので、単独の融資よりも多く借入れできることです。

また、日本政策金融公庫公庫と金融機関で顧客の情報共有を行いますので、書類作成等の手間が省けたり、経営上のサポートを多面的に受けられたりするメリットもあります。

協調融資の具体例としては、日本政策金融公庫公庫と城南信用金庫が連携して実施している「Approach」などがあります。

参照:創業・起業者向け協調融資「Approach 」商品内容 | 城南信用金庫

多額の借入れが必要な場合には、協調融資を申し込むことも検討してみてください。

新創業融資制度等の創業支援の背景

新創業融資制度を含め、創業支援に政府が力を入れている背景について検討します。

まず、開業率の状況について見てみると、2020年度の統計では日本が5.1%なのに対し、アメリカは9.2%、フランスが12.1%と、諸外国に大きく引き離されています。

さらに、創業後間もないにも関わらず高い企業価値を有するユニコーン企業の数では、アメリカが495社、中国が171社、インドが54社なのに比べ、日本はわずかに5社となっています。

参照:科学技術指標2022・html版 | 科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

以上のように、日本は諸外国と比べて有望なスタートアップ企業が登場しにくい環境になっています。

スタートアップ企業は、イノベーションを創出して経済を牽引し、雇用を生み出す存在です。

また、新型コロナワクチンのような、社会課題に対する解決策をいち早く提供する主体でもあります。

スタートアップ企業の活躍は、これからの日本経済にとって欠かせないといえますが、現状では諸外国に遅れを取っています。

この現状を打破するため、2022年には、岸田首相がスタートアップ創出元年を宣言し、「スタートアップ育成5か年計画」を定めました。

かつての日本では、ソニーやホンダに代表されるように、戦後間もない頃に20代、30代の若い起業家が立ち上げたベンチャー精神に溢れた企業が、グローバル企業に成長し、日本経済で重要な役割を果たすようになる現象がありました。

5か年計画では、日本国内にスタートアップ・エコシステムを生み出し、戦後の創業期に匹敵する第二の創業ブームを実現することを大きな目標としています。

数値目標としては、現在8,000億円規模である投資額を、5年後の2027年には10兆円規模に拡大することを掲げています。

また、将来的には、ユニコーン企業100社、スタートアップ企業10万社を創出することで、日本を世界的なスタートアップの集積地に育てることを目指すとしています。

参照:経済産業省「スタートアップ育成5か年計画」

以上のように、政府は、外国と比べて遅れているスタートアップ企業の支援に力を注いでいます。

新創業融資制度は以前からある制度ですが、これからは資金調達の分野でもさらに充実した支援が行われる可能性があります。

起業家の方にとっては、政府の施策によって従来よりも起業のチャンスが広がりつつあるといえるでしょう。

まとめ

この記事では新創業融資制度について解説してきました。

新創業融資制度は、起業家にとってメリットの大きな制度ですが、書類作成や審査が難しい部分もあります。

資金調達の専門家に相談してサポートを受けることも検討してみてください。

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