日本政策金融公庫の審査は厳しい?審査落ちする理由と落ちたときの対処法

日本政策金融公庫とは、政府が出資する金融機関です。2008年10月に創立され、中小企業や個人事業主を中心に、さまざまな融資を提供しています。

しかし、融資を受けるためには、申込したあとの審査に通過しなければなりません。そのため利用を検討する際、「どのような審査が実施されるのか」など、審査について気になる方もいるでしょう。

そこで本記事では、日本政策金融公庫が実施する審査の概要に加え、審査に落ちる原因・対処法や受けられる融資の種類までを解説します。企業の経営者や個人事業主などの方は、ぜひ参考にしてください。

日本政策金融公庫の審査基準とは

日本政策金融公庫は、「一般の金融機関が行う金融を補完すること」を主旨とした政策金融機関です。国の中小企業・小規模事業者・農林漁業に関する政策にもとづき、法律や予算で決められた範囲で融資をおこなっています。まずは、基本情報をみてみましょう。

日本政策金融公庫の基本情報
名称  株式会社日本政策金融公庫
資本金 資本金:11兆6,128億円(※令和4年6月30日現在)

(資本準備金:5兆2,993億円)

設立  平成20年10月1日
支店  152支店
職員数  7,436人(令和4年度予算定員)
貸付残高 ・総融資残高… 29兆1,515億円
・国民生活事業… 12兆6,962億円
・農林水産事業… 3兆5,517億円
・中小企業事業(融資業務)… 8兆4,326億円
・危機対応円滑化業務… 4兆3,599億円
・特定事業等促進円滑化業務…1,108億円
根拠法  株式会社日本政策金融公庫法

(参照:日本政策金融公庫|プロフィール)

日本政策金融公庫は、全国にある152の支店で構成されており、開業資金など企業への一般的な融資だけでなく、大規模な災害やテロリズム、感染症などに対処するための融資もおこないます。融資も豊富にあり、大きく分けると以下の3種類です。

種類 主な融資の対象 特徴
国民生活事業 個人企業/小規模企 融資残高の平均:約1,000万円

短期の運転資金も取扱可能。

中小企業事業 中小企業 融資残高の平均:約1.3億円

短期の運転資金は取扱不可。

農林水産事業 農林漁業や国産農林水産物を取り扱う加工流通分野 長期事業資金にも対応。

(参照:日本政策金融公庫|融資制度を探す)

日本政策金融公庫では上記にある融資のほか、経営課題に対するコンサルティング、全国にある支店のネットワークを活かした商談会なども実施しています。日本政策金融公庫を利用するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

・創業時から融資を受けられる
・民間の金融機関に比べて金利が低い
・返済期間が民間の金融機関よりも長い

日本政策金融公庫では、これから事業を始める方向けの融資も利用が可能です。民間金融機関の融資には、すでに事業を開始している事業所しか利用できないものも少なくありません。創業時に融資を受けられるのは、大きなメリットといえるでしょう。

また、金利が低めに設定されていることも特徴です。日本政策金融公庫の金利は、融資の種類によって異なりますが、1~3%ほどのものも多く、全体的に低めの設定となっています。加えて返済期間が長めに設定されていることも、利用者にとってありがたいポイントです。返済期間も融資の種類によって異なりますが、長いものだと20年に設定されているものもあります。

反対にデメリットは、民間金融機関と比べ、申込から融資まで時間がかかる傾向にあることです。民間金融機関は即日融資に対応している場合もあり、1~2週間ほどで融資を受けられるケースも珍しくありません。一方で日本政策金融公庫の場合、申込から融資まで2週間~1ヶ月以上かかることもあります。

なお、日本政策金融公庫で融資を受ける際は、申込したあとに審査を受けなければなりません。申込条件や実施される審査、必要となる書類などは、融資の種類によって異なります。審査基準については公表されておらず、具体的な内容は不明です。

しかし、申込条件や民間金融機関の審査などから、大まかな審査基準の推察はできます。審査基準も融資の種類によって異なると予想されますが、ここでは個人事業主・中小企業から利用される機会が多い、国民生活事業の審査を中心に考えてみましょう。

返済能力

日本政策金融公庫で提供されているのは、補助金ではなく融資です。借入れたあとには、返済の義務が生じます。民間金融機関では、融資の際に返済能力の調査がおこなわれることから、日本政策金融公庫でも返済能力が審査基準のひとつと考えられます。

返済能力を測るうえで調査されるのは、借入状況や過去の金融取引に関する履歴などです。「借入が多い」「税金・公共料金・金融取引での遅延や滞納」がある場合は、返済能力が疑問視され、審査に通過できない可能性があります。

事業計画

日本政策金融公庫で事業向けの融資に申し込んだ際には、事業計画書を提出しなければなりません。提出すべき事業計画書は、融資の種類によって異なります。たとえば事業を新たに始める場合は、「創業計画書」を提出します。

創業計画書に記載しなければならない内容は、以下のとおりです。

・創業の動機
・経営者の略歴
・取り扱う商品やサービス
・取引先や取引に関する事項
・借入状況
・従業員数
・必要な資金と主な調達方法
・事業の見通し
(参照:日本政策金融公庫│各種書式ダウンロード「創業計画書」(PDF))

書類の記載事項となっていることから、記載する内容について審査されていると考えられます。計画性の無さや矛盾が指摘されると、審査にマイナスな影響を及ぼすでしょう。

面談

日本政策金融公庫では、書類を提出したあと、最寄りの支店にて担当者との面談が実施されます。融資などの金融取引の場合、長期的な取引になりやすいこともあり、申込者の信用度も考慮されます。特に無担保型の融資は、有担保型の融資と比べて貸し倒れになるリスクも大きいため、申込者の信用度が重要視される傾向です。

日本政策金融公庫でも申込者の信用度を測るため、面談には以下のようなヒアリングをされます。

・創業の理由
・事業の経験・実績
・売上の見込みとその根拠
・事業が成功する根拠
・事業に対する経営者の想い・考え方

面談時は資料に記載された内容をもとに、資料ではわからない申込者の人間性や熱意なども見られます。どれだけ綿密な事業計画書であっても、面談で明確に説明ができないと信用度が低いと判断され、審査にもマイナスな影響を与えるでしょう。

自己資金

日本政策金融公庫では、融資ごとに申込条件が設定されています。当然ですが、申込条件を満たしていないと審査の通過はできません。融資のなかには、以下にある「新創業融資制度」のように、自己資金が申込条件として設定されているものもあります。

新創業融資制度を利用できる方 対象 要件
対象者の要件 新たに事業を始める方
事業開始後税務申告を2期終えていない方
自己資金の要件 新たに事業を始める方 創業時において創業資金(事業に使用を予定する資金)の1/10の自己資金を確認できること
事業開始後税務申告を1期終えていない方

(参照:日本政策金融公庫│新創業融資制度)

新創業融資制度を利用する場合、上記を満たしていなければ、申し込んだとしても審査の通過はできません。

日本政策金融公庫の審査の流れ

つづいて、審査の流れをみていきましょう。日本政策金融公庫の審査の流れは、融資の種類によって若干異なりますが、基本的な流れは同じです。

申込み

日本政策金融公庫への申込窓口は、全国に設置された152ヶ所の支店です。まずは最寄りの支店に電話もしくは、店頭にて融資を受けたい旨を伝えましょう。日本政策金融公庫の営業時間は9:00~17:00までです。申込の連絡をすると、融資ごとに必要な書類と今後の流れについて説明してくれます。

必要な書類は、日本政策金融公庫の公式サイトで確認・ダウンロードが可能です。利用を検討する融資の分を事前に把握しておくと、手続きがスムーズに進められるでしょう。

また申込に不安がある際は、「事業資金相談ダイヤル」にて、融資に関する相談ができます。申込や融資に不安や疑問がある方は、利用するとよいでしょう。なお、必要書類は「郵送」もしくは「アップロード」で提出します。

面談

必要書類を提出したら1週間ほどで、支店の担当者から連絡があるでしょう。この連絡では、面談の日程調整や書類に記載された内容の確認などがおこなわれます。面談当日に持参するものが伝えられた場合は、忘れずに準備しておきましょう。

面談では先述したように、資金の使用用途や今後の事業展開を細かくヒアリングされます。返答が曖昧だと審査にマイナスな影響を及ぼす可能性があるため、記載した内容や事業計画などは、明確に答えられるようにしておきましょう。

なお、面談は申込者が支店に出向くのが原則ですが、状況によっては経営している店舗にて実施されるケースもあります。

審査

提出書類と面談の内容をもとに、審査が実施されます。審査の所要時間は状況によって大きく異なりますが、平均すると10日間ほどです(※1)。審査結果は、通知書にて自宅に郵送されます。

日本政策金融公庫では教育一般貸付も提供しており、入学シーズン前の10月~3月にかけては、申込者が非常に多くなりがちです。審査にも時間がかかる可能性があるため、ゆとりをもって申込しましょう。

通知書には審査結果に加え、借入金額や返済方法が記載されています。そのほか、書類も同封されており、確認と記入をしたあとに返送しなければなりません。

返送が必要となる書類 備考
借用証書
預金口座振替利用届 金融機関からの自動振替による返済を希望するときのみ提出
指定口座の当座照合票  口座開設している金融機関にて発行
収入印紙
印鑑証明書 直近3ヶ月以内発行のもの

(参照:日本政策金融公庫)

返送すべき書類に不備があると、融資までの期間が長引いてしまうため、記載ミスがないように注意しましょう。

参照:(※1)日本政策金融金庫│お手続きの流れ

融資

返送した書類の確認が済めば、指定した自分名義の金融機関口座に入金されます。振込みまでの期間は、日本政策金融公庫に提出書類が届いてから、およそ4営業日以内です。

口座の名義が自身の名前もしくは企業名で登録されていないと、振り込みがされないため注意しましょう。

融資後について

融資後の返済については、原則として口座引き落としです。返済期間と金利の計算は、融資ごとに異なります。なお、融資を受けたあとは、決算が終わるたびに、決算報告書を日本政策金融公庫に提出しなければなりません。

日本政策金融公庫の融資は、単なる資金援助ではなく、利用者の継続的な支援も目的のひとつです。継続的な支援をおこなうには、融資先の経営状態を把握しなければならないため、決算報告書の提出を求めています。

もし経営状態が悪化した場合などには、経営・事業に関するアドバイス、追加融資の提案などが受けられることもあります。手間と感じるかもしれませんが、万が一の際には強い味方となるため、決算報告書は忘れずに提出しましょう。

日本政策金融公庫の審査に落ちる原因

日本政策金融公庫の審査に落ちたとしても、「落ちた理由」を教えてもらうことはできません。自分で推測するしかありませんが、日本政策金融公庫の審査に落ちる原因としては、以下のようなものが考えられます。

信用情報に遅延や滞納などの履歴がある

日本政策金融公庫は、審査のときに申込者の信用情報を参照します。信用情報は信用情報機関が管理しており、記録に残るのは以下のような情報です。

・クレジット決済やローンなどの遅延、滞納に関する情報(携帯電話の支払いを含む)
・公共料金支払いの遅延、滞納に関する情報
・税金支払いの遅延、滞納に関する情報
・債務整理の履歴
・自己破産の履歴
・金融商品への申込履歴(クレジットカード、カードローンなど)

支払いの遅延や滞納の記録が残っている場合、「返済能力が低い」と判断されてしまいます。また申込履歴とは、クレジットカードやカードローンなど、金融商品に申し込んだ記録です。短期間に複数の申込みをしていると、「そんなにお金に困っているのか」「多重債務に陥るのでは?」などの印象を与え、審査でもマイナス要素になると考えられています。

信用情報の記録は一定期間で消えますが、明確な時期は公表されておらず不明です。一般的な目安としては、遅延や滞納などの金融トラブルは5~7年、申込履歴は6ヶ月ほど残るとされています。

自身の信用情報は、信用情報機関に問い合わせることで確認できるため、不安な方は事前にチェックしておくとよいでしょう。

妥当な融資希望額でない

日本政策金融公庫で利用できるのは、使用用途が定められた融資です。融資希望額が妥当でないと判断された場合も、審査に落ちる可能性があります。

たとえば備品の購入とした目的とした場合、相場とかけ離れた金額の見積もりを提出しても、妥当とはみなされないでしょう。妥当性が証明できないときは、審査の通過が難しくなります。

特に設備資金や運転資金が高額になるときは、使用する用途を明確にし、その妥当性や必要性を説明しなければなりません。備品購入などで見積もりを取る際は、相場に見合った金額かどうかを確認しておいきましょう。

事業計画が曖昧

事業所向けの融資の場合、現在の返済能力だけでなく、事業計画書も重視されます。審査時には事業計画書に記載された内容が、「実現できるものであるか」「成長・収益が見込めるか」などを判断します。

しかし記述されている内容に根拠がなく、曖昧だったり、明確に試算されていなかったりすると、事業の妥当性を認識してもらうのは難しいでしょう。事業計画書を作成する際は、今後の展開を数値化するとともに、その根拠を明確に示すことが重要です。

日本政策金融公庫の審査に通過するためのポイント

日本政策金融公庫の審査を通過するためには、事前に対策を講じておくのが重要です。事前準備や審査を受けるときは、以下のポイントをおさえておきましょう。

将来性を感じるような事業計画書を作成する

日本政策金融公庫に提出する事業計画書は、将来性を感じるような内容にしましょう。科学技術の進歩により、私たちの暮らしは豊かになった一方、市場は飽和の状態になりつつあります。市場には類似する商品・サービスがあふれており、競合他社も無数に存在します。仮にニーズが大きい業界に参戦するにしても、生き残るためには、競合他社との差別化が必要です。

事業がうまくいかず倒産してしまうと貸し倒れになるリスクがあるため、日本政策金融公庫でも事業の将来性については、事業計画書や面談などでチェックします。創業の動機ひとつにしても、「人気のある市場だから」という理由のみでは、将来性が感じられず、生き残りが難しいと判断される可能性があります。

審査に通過するためには、他社との差別化ポイントや事業の将来性について、事業計画書や面談で具体的に示すことが大切です。また実際に取引できる取引先の一覧、見込める取引数量など、現実的な内容も盛り込んでおくようにしましょう。将来性や妥当性のある内容にすれば、審査にプラスの影響を与える可能性があります。

なお、自社のみで事業計画書の作成が難しいと感じるときは、中小企業診断士や企業コンサルタントなどに相談するのもおすすめです。専門家の視点をプラスすることで、事業計画書をブラッシュアップできるでしょう。

資金の使用用途は明確にしておく

資金の用途を明確にしておくのも、審査に通過するためのポイントです。日本政策金融公庫の融資は、フリーローンやカードローンとは異なり、使用用途が定められた融資です。資金の用途は各融資の申込条件にもなっているため、審査時には「本当に目的のものに使用されるか」を確認されます。資金の用途がはっきりしていないと確認が取れないため、審査の通過が難しくなったり、融資額を減額されたりする可能性があります。

資金の使用用途を明確にする際は、併せて必要性や根拠も説明しましょう。使用用途や必要性を資料に記載する際は、表やグラフを使ってまとめるのがおすすめです。人間は文字より図や画像の方が認識しやすいとされているため、担当者もイメージがしやすいでしょう。

面談対策をする

日本政策金融公庫の審査では、必ず面談がおこなわれるため、面談対策を講じておきましょう。面談では先述したように、担当者が創業の動機や経営者の経歴、事業内容や自社の強みなどをヒアリングします。

ただ担当者は事業の妥当性だけでなく、経営者の事業に対する熱意や本気度なども併せてチェックしています。消極的な言い回しや曖昧な回答をしてしまうと、信用度が低いと判断される可能性があるため、自信をもって自分の言葉で伝えることが大切です。

なお、これから創業する場合には、まだ示せる実績がありません。もし展開予定の事業に携わった経験がある場合は、「経験をどのように活かすのか」などを具体的にアピールしましょう。

支払いの遅延・滞納をしない

審査時には、信用情報の照会もおこなわれるため、金融取引の支払いは遅延・滞納をしないようにしましょう。とはいえ信用情報の記録は取り消しができないため、申込時に心当たりがあったとしても、すぐに対処はできません。

しかし、自身でも取り組めることはあります。信用情報は一定の期間が経過すると削除されますが、新たに遅延・滞納をしてしまったときは、その情報が記録されてしまいます。定期的に遅延・滞納を繰り返した場合、常時記録が残っていることになるため、再度申し込んだとしても審査の通過は難しいでしょう。

過去に遅延・滞納をしてしまった方は、これ以上遅延・延滞の記録を増やさないことが大切です。

日本政策金融公庫の審査に落ちたときの対処法

日本政策金融公庫の審査に落ちたときは、試してみたい対処法があります。審査に落ちたときは、以下の対処法を試してみましょう。

・落ちた原因の分析
・再度申し込む
・他の資金調達方法を検討する

落ちた原因の分析

日本政策金融公庫の審査に落ちた際、はじめに取り組むべきは、落ちた原因の分析です。別の金融機関に申し込むにしても、原因を分析しないままでは対策を講じることができず、次も審査に通過できない可能性があります。

融資の審査では1つの要素ではなく、さまざまな観点から総合的に判断するのが一般的です。たとえば民間金融機関の金融商品では、申込条件に「安定した収入」というものがよく見受けられます。

金融商品でいう安定した収入とは、継続して一定の収入を得られている状態のことです。単月にどれだけ収入があっても、ほかの月に収入を得られていなければ、安定した収入とみなされず、審査に通過できない場合もあります。このように融資の審査では、現状の返済能力のみで、単純に判断されているわけではありません。

「本人が返済不能となった場合に弁済してくれる人がいるかどうか」、「連絡が取れなくなるようなことはないか」など、信用度についても総合的に判断します。

日本政策金融公庫の審査も同様です。審査に落ちた原因を知ることはできませんが、先述した落ちる原因などを参考に、さまざまな角度から自己分析する必要があります。適切な改善策を講じることができれば、次に受ける審査を有利に進められる可能性があります。

なお、自己分析をする際は、面談時における担当者の反応も参考にしましょう。回答した際、反応が芳しくなかったと感じる箇所があれば、対策を講じることで次回の審査時に改善できる可能性があります。

再度申し込む

一定の期間を空けてから、再度申し込むのもおすすめです。事業計画の見直しや面談対策を講じ、妥当性が認められると、次回の審査では通過できる可能性があります。

ただし一度申込すると、信用情報機関に申込履歴が残こるため、6ヶ月以上の期間を空けてから申込するようにしましょう。申込履歴が残ったままだと、審査にマイナスな影響を与える可能性があるため、記録が削除されてから申込するのがおすすめです。

次回の申込までの期間は、審査に向けた準備を進めましょう。とくに、事業計画や自己資本比率の見直しは重要です。

また再申込時にも面談は実施されるため、面談対策も忘れてはなりません。コミュニケーションが苦手な方などは、知人や社内の従業員に協力をお願いして、面談のロールプレイングをしておくとよいでしょう。

他の資金調達方法を検討する

日本政策金融公庫の利用が難しい場合は、別の資金調達方法を検討するのも手です。近年では資金の調達方法も豊富になっており、以下のようなもの挙げられます。

・補助金や助成金の活用
・民間金融機関の利用
・質屋の利用
・クラウドファンディング

クラウドファンディングは、プロジェクトを立ち上げた個人または法人に対し、不特定多数の方が資金を供与するものです。出資を募る際はWebやプラットフォームを利用し、共感が得られた支援者から一定金額ずつ出資してもらいます。

上記は、あくまで一例です。資金を調達する方法にはさまざま手段があるため、自分に合ったものを選びましょう。

日本政策金融公庫における融資の種類

日本政策金融公庫の融資は、事業者向けのものから個人向けのものまで種類が豊富です。この章では、利用できる貸付制度をイメージがしやすいように、目的別にまとめてみました。日本政策金融公庫の利用を検討する際は、ぜひ参考にしてみてください。

一時的な資金繰りにお困りの方向け 経営環境変化対応資金 ■ 経済環境などの外的要因により、一時的な売り上げ減少を被っているが、回復が見込めている方■ 融資限度額:4,800万円
農林漁業セーフティネット資金 ■ 認定農業者・主業農林漁業者に該当する方

■ 融資限度額
一般:600万円
特認:年間経営費等の6/12以内

新たに事業を開始したい方向け 新規開業資金  ■ 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方

■ 融資限度額
7,200万円(うち運転資金4,800万円)

新事業育成資金 ■ 高い成長性が見込まれる新たな事業を行う方

■ 融資限度額
直接貸付 7億2千万円

地域社会の課題解決に取り組む方向け ソーシャルビジネス支援資金  ■ NPO法人/NPO法人外で、定められた要件に該当する方

■ 融資限度額
7,200万円(うち運転資金4,800万円)

事業承継を検討している方向け  事業承継・集約・活性化支援資金 ■ 定められた要件を満たした方

■ 融資限度額
国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
中小企業事業:直接貸付 7億2千万円

海外展開を検討している方向け 海外展開・事業再編資金 ■ 定められた要件を満たす方

■ 融資限度額
国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
中小企業事業:直接貸付 14億4千万円(うち運転資金9億6千万円)

海外展開支援融資(農林水産業向け ■ 農林漁業や食品産業を営む方
■ 融資限度額:記載なし
スタンドバイ・クレジット制度  ■ スタンドバイ・クレジットの発行が、海外現地法人等が提携金融機関から現地流通通貨建て融資を受ける場合

■ 融資限度額
1法人あたり4億5千万円

農業経営を始める・発展させたい方向け  青年等就農資金 ■ 認定新規就農者

■ 融資限度額
3,700万円(特認1億円)

スーパーL資金  ■ 認定農業者(個人は、簿記記帳の実施、または今後簿記記帳を行うことが条件)

■ 融資限度額
個人:3億円(特認6億円)
法人:10億円(特認20億円[一定の場合30億円])

経営体育成強化資金  ■ 主業農業者・認定新規就農者など

■ 融資限度額
個人:1億5,000万円
法人:団体5億円以内

(参照:日本政策金融公庫│融資のご案内「主要融資一覧」)

上記はあくまでも目安となるものです。対象や申込条件は、融資ごとに細かく設定されています。詳しい情報を知りたい方は、日本政策金融公庫の公式サイトをご参照ください。

まとめ

日本政策金融公庫から融資を受けるには、実施される審査に通過する必要があります。企業向け融資の審査では事業計画書などの書類、および面談によって、事業の将来性や返済能力を判断されます。

曖昧な事業計画書であったり、面談時に妥当性をアピールできなかったりすると、返済能力と事業の将来性が認められず、審査の通過が難しくなるでしょう。

日本政策金融公庫の審査に通過するには、返済能力を有していることを証明するとともに、事業の妥当性や将来性を認めてもらうことが必要です。自社のみで書類作成などが難しいときは、専門家に相談しつつ、審査に向けて準備を進めていきましょう。

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    弁護士土屋勝裕
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