廃業(会社清算・破産)をお悩みの方へ

会社の業績が芳しくない、自分の体調が優れない、先行き不安である、後継者がいない、リタイアしたい、将来ビジョンが描けない、などの理由で、廃業やリタイアを検討されているオーナー経営者様もいらっしゃると思います。

このような場合、会社を解散して清算し廃業するすることが最善の方法でしょうか。
会社を解散して清算する場合、これまで苦楽を共にした従業員をどうすればよいのでしょうか、取引先の面倒を誰が見るのでしょうか。

そもそも、会社はオーナー経営者様の「人生の証し」ですので、廃業だけは避けて欲しいのです。
人生の通信簿だという人もいます。
本来、後顧の憂いなく、永久に輝き続けて行って欲しいのです。

また、長年築いてきた取引先との関係や、経営ノウハウなどは貴重な資産です。
これを廃業によりみすみす失うことは非常に勿体のない話です。

また、会社清算時には、オーナー経営者様への残余財産分配金や退職慰労金に対して課税がなされます。
単に業績が悪いといっても、全ての事業が赤字というわけではなく、業績の良い業務のあるのではないでしょうか。

廃業(会社清算か破産か)だけでなく、事業を第三者に売却(M&A)することにより破産を回避し、会社を存続させることができる方法もあります。

すなわち、諸般の事情を考慮し、オーナー経営者、役員・従業員の皆様、取引先等の関係者にとって最善の手法を検討する必要があります。

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廃業なら清算と破産どちらの選択肢をとるべきか

会社の解散というのは、法人格を消滅させる手続きのことであり、破産手続きを含む広い概念です。
会社は、特別総会決議(過半数株主が出席した上で出席株主の3分の2の同意が必要)がなされた場合または破産開始決定が裁判所によりなされた場合に解散します。

会社が解散したときは、原則として、通常の清算手続きを行うことになります。
会社が有している債権の取立てや、債務の弁済を行い、残余財産があったときは株主に分配をすることとなります。
通常の清算手続きはそれほど難しい手続きではありません。

しかし、この通常の清算手続きは、会社の資産により会社の負債がすべて返済できること、すなわち、債務超過に陥っていないことが前提です。
たとえ決算書が債務超過に陥っていたとしても、社長様やご親族が会社に対する貸付金を放棄すれば債務超過が解消できるような場合は、そのような方法により債務超過を解消して通常の清算手続きを行えば問題ありません。

会社が債務超過などの場合は破産を回避できない可能性がある

しかし、清算の遂行に著しい支障をきたすべき事情があるとき、清算会社が債務超過である疑いがあるときには、裁判所に特別清算手続きを申し立てることとなります。

特別清算手続きは、裁判所の監督下において清算手続きを進めることとなります(ただし特別清算手続きは株式会社に限られます)。
特別清算手続きは、債権者集会での協定案が可決され(出席債権者の過半数を満たし、かつ議決権を行使できる債権者の総債権額の3分の2以上が可決要件です)、一定の債権者の同意を得ることによって、過剰な債務を削減することが可能であり、会社清算が可能となります。

他方、破産手続きは、裁判所に選任された破産管財人が、会社の財産を処分し、債権者集会で財産状況について債権者に報告し、債権者の債権の認否を行った上で、配当可能な財産があるときは、債権者に対しその債権額に応じて財産を分配するという手続きです。

債務超過状態において、全ての債権者を満足させることは困難な状態であるものの、一定の債権者の同意を得なければならない特別清算手続きでは、債権者が応じなければ過剰な債務を削減することができないため、債権者の同意が得られないことが確実である場合など、破産手続きを選択することとなります。

特に、中小企業の場合は、債権の多数を占める銀行が同意をしないケースがあり、その場合には破産をせざるを得ないということとなります。
破産手続きにおいては、債権者の同意は必要とされておりません。

ですので、会社が債務超過の場合は、一般的には、破産手続きをする他ないということとなります。

事業を第三者に売却(M&A)できる場合、破産を回避できる可能性がある

しかし、全ての事業が赤字というわけではなく業績の良い業務がある場合や、過剰な債務を削減すれば赤字ではない(金利負担が会社の業績を圧迫している)ような場合、その事業自体は事業価値を維持しているということができます。

すでにリタイアをお考えの場合、廃業や会社清算する場合は二束三文しか残りませんが、事業を存続させたまま、事業譲渡や会社分割の方法により、第三者に売却(M&A)することにより、廃業や会社清算する場合に比べて高値で事業が売却でき、債務超過を解消でき、破産手続きを回避でき、事業を存続させることができる可能性があります。

また、債務超過が解消できない場合であっても、民事再生手続きを選択するなどの方法により、事業を継続できる場合もあります。これは私的整理手続きにより可能の場合もあります。また、民事再生手続きに基づいて、事業譲渡の方法により、事業を第三者に売却(M&A)することができる可能性もあります。

すなわち、会社をそのまま解散し清算させ廃業する方法、事業譲渡や会社分割などのM&A(買収)により事業を存続させる手法、可能な限り破産(倒産)を避け、最大限、オーナー経営者に負担が残らないようにする方法など、廃業(会社清算や破産)が最善なのか?についても、これらの諸般の事情を考慮し、検討することが重要です。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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